エチオピア産コーヒー豆(モカ)の経緯と見通し
2009年 05月 21日
このブログでもたびたびお知らせしておりますが、昨年5月ごろから、残留農薬の問題でエチオピア産コーヒー豆(モカ)の日本への輸入がほぼストップしています。生豆問屋さんから、これまでの経緯と見通しについての資料が届きました。
長文ですが、コーヒー愛飲家の皆様へお知らせすべき情報と判断し、資料をかなり引用しながら紹介します。
一連の残留農薬は、昨年春の入港分から、食品安全法に基づくモニタリング検査により検出され始めたそうです。これは、いわゆる「07/08クロップ」の新豆が入荷する時期と重なっており、この収穫期の生産分から、何らかの原因で農薬が残留するようになった、というのが関係者の間での共通した認識とのことです。
検出された主な農薬は、「リンデン(=γ―BHC)」「ヘプタクロル」「クロルデン」「DDT」の4種。これらは、ストックホルム条約により、いわゆるPOPs(残留性有機汚染物質)として認定され、世界的にその製造や使用が禁止されている薬剤であることから、エチオピア、日本両国のコーヒー関係者に衝撃を与えました。
最初にある輸入商社の貨物から残留農薬が検出されて以降、その他の輸入者の貨物からも検出が相次いだため、日本珈琲輸入協会は、エチオピア産コーヒー豆の輸入通関前の自主薬品検査を会員に義務付けたところ、80%を超える貨物から、何らかの濃度の上記農薬が検出されるようになったそうです。
これ以降、エチオピア産コーヒー豆の輸入通関量が激減することとなります。
一昨年5月~12月に輸入された数量約2万5700tに対し、昨年同期はわずか3800t。
事態を深刻に受け止めた全日本コーヒー協会は、昨年6月初旬に、安心安全委員会のメンバーや輸入商社担当者からなる視察団をエチオピアに派遣し現地調査を実施。視察団は、同国主要生産地の農園から輸出港「ジブチ」といったすべての流通ルートを調査し、各流通段階でのコーヒー豆や包装資材などのサンプリングを行ったそうです。
この現地調査では明確な原因の究明まで至らなかったものの、収集した多くのサンプルを薬品検査した結果、原料の生産地から集散地「アジスアベバ」の間で使い回しされていた国内流通用麻袋から高濃度の残留農薬が検出された、とのことです。これが主な汚染媒体であろう、との推測が現在主流となっています。
同サンプル検査結果は、エチオピア政府関係者へも報告されました。同国政府も結果として、国内流通用麻袋が汚染媒体である、との結論を打ち出します。
その結果、従来コーヒー豆原料の国内流通に使用されていたすべての中古麻袋を廃棄し、新たに製造し安全である旨のロゴマークを刷り込んだ麻袋を使用するよう義務付ける制度を作りました。この麻袋は昨年7月ごろから製造が始まり、現在「アジスアベバ」に入荷する全コーヒー豆原料はこの麻袋に包装されている、とのことです。
また、エチオピア政府は、国内で残留農薬の検査をする分析機関の必要性を認識し、薬品分析装置3台を導入、今後の日本向けのコーヒー豆を全量検査する体制を整えようとしている、とのこと。分析機関の統括を担う専門家についても、研修のため来日、現在「アジスアベバ」の分析機関のスタッフの指導に当たっているそうです。
ところが、すでにエチオピアでは「09/10クロップ」の出荷が始まっているものの、日本への輸入は実質再開していません。
エチオピア政府により、今回の問題の根本的な汚染原因が特定されていない点や、エチオピアからの薬品検査用のサンプルの持ち出しが禁止されていることから、ニュークロップのコーヒー豆のサンプルの農薬検査の実施事例や報告が少なく、民間の輸入商社として農薬の残留のないエチオピア産コーヒー豆が確保できる保証がないため、というのが原因としています。
今年3月末には、厚生労働省の担当官らが、エチオピア政府の招きでエチオピアでの現地調査を行ったそうですが、結果についての報告はまだコーヒー業界関係者に開示されていません。
今後のエチオピア産コーヒー豆の輸入再開については、エチオピア政府として残留農薬問題に関して実施された取り組み、現在どの程度安全性が確立されたのか、といった実際の分析結果をともなった報告が出されないことには、目途が立たないというのが業界の認識です。
一方、エチオピア産コーヒー豆は、日本以外の市場へ従来と変わりなく輸出されています。
問題となった4種類の農薬のEUにおける最大許容基準値は次の通りです(カッコ内が日本の基準値)。
リンデン 0.1ppm(0.002ppm)
ヘプタクロル 0.02ppm(0.01ppm)
クロルデン 0.02ppm(0.01ppm)
DDT 1.0ppm(0.01ppm)
コーヒー業界では、「日本の基準値があまりに低く設定されている」と主張し、今後、日本のコーヒー業界団体として、厚生労働省に基準値の見直しを働きかける必要性がある、としています。
【追記】
エチオピア産コーヒー豆不足は国内のコーヒー業界にとって大変な事態です。一方で、消費者の健康や安全に対する意識の高まりに十分配慮することも重要でしょう。
農薬の基準値といった専門的な情報はなかなか私のような一般の人間には理解できません。「日本の基準値を緩やかにしてほしい」と厚労省に要望する背景に、コーヒーを愛する日本の消費者の理解・支持が欠かせません。コーヒー業界は、その努力も必要と考えます。
長文ですが、コーヒー愛飲家の皆様へお知らせすべき情報と判断し、資料をかなり引用しながら紹介します。
一連の残留農薬は、昨年春の入港分から、食品安全法に基づくモニタリング検査により検出され始めたそうです。これは、いわゆる「07/08クロップ」の新豆が入荷する時期と重なっており、この収穫期の生産分から、何らかの原因で農薬が残留するようになった、というのが関係者の間での共通した認識とのことです。
検出された主な農薬は、「リンデン(=γ―BHC)」「ヘプタクロル」「クロルデン」「DDT」の4種。これらは、ストックホルム条約により、いわゆるPOPs(残留性有機汚染物質)として認定され、世界的にその製造や使用が禁止されている薬剤であることから、エチオピア、日本両国のコーヒー関係者に衝撃を与えました。
最初にある輸入商社の貨物から残留農薬が検出されて以降、その他の輸入者の貨物からも検出が相次いだため、日本珈琲輸入協会は、エチオピア産コーヒー豆の輸入通関前の自主薬品検査を会員に義務付けたところ、80%を超える貨物から、何らかの濃度の上記農薬が検出されるようになったそうです。
これ以降、エチオピア産コーヒー豆の輸入通関量が激減することとなります。
一昨年5月~12月に輸入された数量約2万5700tに対し、昨年同期はわずか3800t。
事態を深刻に受け止めた全日本コーヒー協会は、昨年6月初旬に、安心安全委員会のメンバーや輸入商社担当者からなる視察団をエチオピアに派遣し現地調査を実施。視察団は、同国主要生産地の農園から輸出港「ジブチ」といったすべての流通ルートを調査し、各流通段階でのコーヒー豆や包装資材などのサンプリングを行ったそうです。
この現地調査では明確な原因の究明まで至らなかったものの、収集した多くのサンプルを薬品検査した結果、原料の生産地から集散地「アジスアベバ」の間で使い回しされていた国内流通用麻袋から高濃度の残留農薬が検出された、とのことです。これが主な汚染媒体であろう、との推測が現在主流となっています。
同サンプル検査結果は、エチオピア政府関係者へも報告されました。同国政府も結果として、国内流通用麻袋が汚染媒体である、との結論を打ち出します。
その結果、従来コーヒー豆原料の国内流通に使用されていたすべての中古麻袋を廃棄し、新たに製造し安全である旨のロゴマークを刷り込んだ麻袋を使用するよう義務付ける制度を作りました。この麻袋は昨年7月ごろから製造が始まり、現在「アジスアベバ」に入荷する全コーヒー豆原料はこの麻袋に包装されている、とのことです。
また、エチオピア政府は、国内で残留農薬の検査をする分析機関の必要性を認識し、薬品分析装置3台を導入、今後の日本向けのコーヒー豆を全量検査する体制を整えようとしている、とのこと。分析機関の統括を担う専門家についても、研修のため来日、現在「アジスアベバ」の分析機関のスタッフの指導に当たっているそうです。
ところが、すでにエチオピアでは「09/10クロップ」の出荷が始まっているものの、日本への輸入は実質再開していません。
エチオピア政府により、今回の問題の根本的な汚染原因が特定されていない点や、エチオピアからの薬品検査用のサンプルの持ち出しが禁止されていることから、ニュークロップのコーヒー豆のサンプルの農薬検査の実施事例や報告が少なく、民間の輸入商社として農薬の残留のないエチオピア産コーヒー豆が確保できる保証がないため、というのが原因としています。
今年3月末には、厚生労働省の担当官らが、エチオピア政府の招きでエチオピアでの現地調査を行ったそうですが、結果についての報告はまだコーヒー業界関係者に開示されていません。
今後のエチオピア産コーヒー豆の輸入再開については、エチオピア政府として残留農薬問題に関して実施された取り組み、現在どの程度安全性が確立されたのか、といった実際の分析結果をともなった報告が出されないことには、目途が立たないというのが業界の認識です。
一方、エチオピア産コーヒー豆は、日本以外の市場へ従来と変わりなく輸出されています。
問題となった4種類の農薬のEUにおける最大許容基準値は次の通りです(カッコ内が日本の基準値)。
リンデン 0.1ppm(0.002ppm)
ヘプタクロル 0.02ppm(0.01ppm)
クロルデン 0.02ppm(0.01ppm)
DDT 1.0ppm(0.01ppm)
コーヒー業界では、「日本の基準値があまりに低く設定されている」と主張し、今後、日本のコーヒー業界団体として、厚生労働省に基準値の見直しを働きかける必要性がある、としています。
【追記】
エチオピア産コーヒー豆不足は国内のコーヒー業界にとって大変な事態です。一方で、消費者の健康や安全に対する意識の高まりに十分配慮することも重要でしょう。
農薬の基準値といった専門的な情報はなかなか私のような一般の人間には理解できません。「日本の基準値を緩やかにしてほしい」と厚労省に要望する背景に、コーヒーを愛する日本の消費者の理解・支持が欠かせません。コーヒー業界は、その努力も必要と考えます。
by gayacoffee | 2009-05-21 20:32 | お知らせ! | Comments(0)

