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コーヒー豆は高くなる?安くなる? 世界市況

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なにげにおいしく飲んでいるコーヒーですが、ご存じのとおりコーヒー豆は日本国内ではほとんど栽培されていません。
赤道を中心に北回帰線と南回帰線の間、いわゆるコーヒーベルトといわれる熱帯地方で栽培され、商社などが買いつけて船で国内に輸入され、通関手続きや農産物としての検疫検査など受け、ようやく輸入され、生豆問屋さんを経るなどして多くは大手コーヒーメーカーの元へ。そのごく一部が自家焙煎コーヒー店へと流れてきます。自家焙煎店も増えてきましたが、取扱量は大手コーヒーメーカーが圧倒的です。
余談ながら、自家焙煎店は小回りが利く分、より新鮮で豆にこだわり煎り方を工夫した店主・オーナーの思い入れの詰まったコーヒーをご提供しています。

さて、あまりにも身近なコーヒーだけに、コーヒー生豆が先進国(消費国=飲む人の多い側)と発展途上国(生産国=豆を栽培する側)の経済格差、世界的不況、地球規模の環境の変化などに左右される代表的な農作物であり、世界各国が知恵を絞って克服すべき政治・経済的課題のまっただ中にあるということを、コーヒーファンのひとりとして意識したいもの。
「コーヒーはおいしければ良い」とも言えるでしょうが、愛飲家としてはコーヒー豆の背景を知っておくと、コーヒーの味わいもより深くなりそうです。

前置きが長くなりました。
生豆問屋さんからいただいた資料に最近のコーヒー豆を取り巻く市況などがあったので、興味のある方は読んでみてください(参考資料:ワタル)。

09/10年需給見通し
●世界の09/10年を前年と数値で比較をすれば以下の通りとなる
①期首在庫は40,068千袋で106.2%(前年がブラジルの表作柄で当然増加したが微増だった)
②生産量は127,443千袋で94.5%(前年比△10,000千袋予想だったが、結果は△7,320千袋に)
③輸入量は86,357千袋で98.5%(微減:現在もICOが発表する輸出量は、今もって落ち込みを見せず)
④国内消費は121,059千袋で100.1%の横ばいと予想している(輸入国+生産国)
⑤輸出量は91,725千袋で97.5%(生豆のみ) ※500万袋以上製品輸出がある
⑥期末在庫は35,293千袋で88.0%(4,775千袋減少)、需給数値が合わない。製品輸出があるからか?
⑦製品輸出は整合性がないので差数を筆者(注:ワタル)が製品(ICやRC)と勝手に解釈推定
★単年度ギャップグラフから見れば先行きは厳しくなっていく。天候不順や10/11年度表作柄に要注意。
★ただし消費量が減少しないことが前提になっている。消費動向はいまだに結論が出ていない。


【生産国の輸出動向】
●世界経済が大不況で国際商品は需要急減したが、コーヒーに変化はない
●1~6月の累計量では2009年度が前年度を上回っている
●コロンビアの08/09年生産が200万袋減産で、輸出量も急減している
●日本の輸入量は3年間連続で減少し、世界シェアもダウン
●生産国同士での輸出入が08/09年度に270万袋あった
●輸出された数量が即消費とはいかず、輸入国の在庫は増加傾向

【輸入消費国の在庫】
●輸入国全体の在庫は不明だが、3大消費地域EU、アメリカ、日本は公表されている
●EUはECF(ヨーロッパコーヒー連合)、アメリカはGCA(グリーンコーヒー協会)、日本は全協(農林水産省)のデータを合計。GCAの発表は早い、次に日本、ECFの順
●5~8月は季節的に増加傾向が毎年あるが、年度別でも増加し増加トレンドは続く
●アメリカの増加率は低く、輸入量も3%減少。日本と特にヨーロッパ在庫の増加率が顕著
●在庫レシオ:月間消費量の欧州4.2カ月、米国は2.8カ月、日本は3.6カ月。平均3.6カ月
★欧州通貨ユーロは15%対ドルで上昇している(輸入コスト計算が安価に傾斜)。また景気回復が遅れているが、何か関係がありそうだ。

【日本・アメリカ・ヨーロッパの消費】
●日米欧3地域月間輸入量=生産国輸出量-20万袋(生産国→生産国)-180万袋(3地域以外推定消費量)
●年度別1~5月累計では前年度比8%減少

【日本の消費動向】
●上半期年度別輸入量はNYCが低価格だった2002~2005年が比較的多い
●価格上昇後の輸入量は減少する(2006~2007年)
●価格上昇で輸入減少、在庫も減少。低在庫は臨界点(08年12月)に達する
●港湾出荷は2007年度がピーク。2009年は前年度比3%減、前々年度比6.4%減
★コーヒー消費量は欧米のように峠を越えたのか、それとも1人当たり杯数では27位なので、消費構造改革や販促によっては成長余地があるのか?
★リーマンショック以来、輸出依存の日本はGDP後退率が高い。所得減少、外食費も減少、戦後流行したエンゲル係数の出番か?
★品質を上げ価格を下げた衣料店舗や外食店舗は消費者を呼び込んでいる。


【ブラジルからの市況材料】
●ブラジルの08/09年度の生産量は史上第2位の増産(第1位は02/03年の5,360万袋)また09/10年生産量は裏作だが、前々裏作同期より440万袋増産。ただし輸出量は減少せず製品(RC・IC)などを考慮すると10年9月期末在庫は300万袋減少する(PERRO分は考慮せず)
●政府は生産者支援政策(PERRO)として、7月15日100万袋を303.50レアル/60kgsで政府に売る権利(オプション)を販売した。この価格は現在の海外価格より魅力的。落札価格は9.5レアル(60kgs当たり)だった。もちろん第1回の落札品は行使期限がある(11月13日)
●さらに200万袋を23日に全量落札した。政府買い上げ価格はより高くなっている。このまま海外価格が上昇しないと、300万袋が政府所有となって、市場にはしばらく放出されないだろう
★レアルが2.3/$だった今年初めごろは330レアル/袋の輸出収入があった。NYCは下がりレアルは高くなった。内憂外患とはこのことだろう。
★降霜季は大過なく終了。次の天候材料は9~10月開花期の降雨量だ。ただしこれも1~7月の降雨量は問題なく、土壌水分は今のところ問題はなさそう。雨が多いと品質懸念が残る。


【これからの市況見通し】
■外部要因(コーヒー以外の材料)
●世界の景況感は回復期待で株式が上昇トレンド→国際商品上昇→CRB上昇→NYC上昇、5月の再来の気配
●ファンド規制政策:ファンドの保有建て玉制限、登録制度、透明制度の具体的な内容と実施時期
●通貨、特にドル相場の行方。BRICSなどの保有米国債券の長期債から短期債へ、さらに他通貨への乗り換え
■内部要因(コーヒーの材料)
●ファンドの建て玉保有動向。夏場でも8,200枚キープ。秋の需要季と景気先取りで買い増しを警戒
●ブラジル生産者は303~314レアル(60kg)で政府への売りオプションを300万袋保有している
●生産国輸出のペースは落ちずに輸入国の在庫が増加中。購入の反動や需給の変化はないのか?
●ブラジル開花時期が迫る。9~10月の生産地の降雨量に注意。逆に収穫時期の大雨は品質劣化の可能性
●春先の上昇要因にマイルドの供給難があった。夏場で小康状態だが秋は端境期に入る。材料復活?
★基本的にコーヒー需給はタイト感はあるが安定しているので、内部要因としての刺激的な材料はないと思われる。相変わらず外部要因として通貨や金利水準、経済指標、他の国際商品価格(CRB)水準などの影響が大きいと思われる。
by gayacoffee | 2009-08-10 13:50 | コーヒー㊙㊕情報 | Comments(0)

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