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NHKドラマ「気骨の判決」(再放送)を観ました

先週の日曜でしたか、終戦の日のNHKスペシャル・ドラマ「気骨の判決 東條英機と闘った裁判官」の再放送を観ました。原作は、NHK大分放送局・清永聡記者のノンフィクション「気骨の判決―東條英機と闘った裁判官」だそうです。

太平洋戦争が始まった翌年、昭和17年の4月30日に行われた第21回衆院選で、改選議員定数466人に対し大政翼賛会が推薦した候補者=翼賛政治体制協議会推薦候補者381人が当選、全議席の約82%を占める結果となります。いわゆる「翼賛議会」の始まりです。
選挙運動中、国と大政翼賛会は「挙国一致」を標榜し大政翼賛会の非推薦候補者に対する選挙妨害、干渉があったとし、落選した非推薦候補らが「選挙無効」を訴える訴訟を次々と起こします。
訴訟のうちの1件、舞台はなんと「鹿児島県第2選挙区」(当時)です。
大審院(現在の最高裁に当たる)第三民事部の吉田久裁判長と4人の陪席裁判官らは鹿児島入りし県知事はじめ187人への証人尋問を行い、その結果、国と大政翼賛会等による選挙干渉があったことを明らかとし、「選挙無効」の判決を下しました。
主文:昭和一七年四月三十日施行セラレタル鹿児島県第二区ニ於ケル衆議院議員ノ選挙ハ之ヲ無効トス
吉田裁判長は「規定違反の選挙は無効となる旨を定めた衆議院議員選挙法第82条に当たる」として選挙のやり直しを命じるとともに、「憲法および選挙法の精神に照らし大いに疑問がある」と指摘、国を厳しく批判します。やり直し選挙では結局、翼賛候補者が再び当選する結果となりますが、司法史に刻まれる判決です。
判決の原本は東京大空襲の際に焼失“幻の判決文”とされていましたが、平成18年に61年ぶりに最高裁判所の倉庫に眠っていたものが発見されたとのこと。

当時は「鬼畜米英」「欲しがりません、勝つまでは」など合言葉に、すべて「戦争に勝つため」を掲げ言論も思想も厳しく取り締まられた時代です。国、大政翼賛会を批判する同判決は、それこそ「非国民」「国賊」としての汚名どころか、死を覚悟した上であったろうと想像に難くありません。
どんな時代にも腹の据わった人物はいるもの、とドラマを観ながら思いました。
当時の鹿児島県第2選挙区は現在の薩摩川内市・さつま町・出水市・伊佐市・霧島市などに当たるとか。
鹿児島県ではほかの選挙区でも「選挙無効」の訴訟があったそうですが、「選挙無効」の判決は同裁判のみでした。

ドラマを観ていて、鹿児島人の気質のひとつ「芋づる」「お上意識」の悪い面が出た事件でもあるな、とも感じました。廃仏毀釈でもそうですが、熱に浮かされると狂乱状態となり客観・論理的思考が停止、集団ヒステリー化する危険性を持っているようです。
気を付けなければいけませんね、鹿児島人は。
by gayacoffee | 2009-10-18 20:29 | ガヤマスのつぶやき | Comments(0)

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