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居合刀の鞘割れを補修してみました

先日、刀身に樋を入れて100g軽くなった居合刀「牡丹紋 肥前國播磨守忠國(偽銘)」。傷んでいた柄も柄木から替えて一新しました。
ただ、課題がもうひとつあります。鞘の鯉口(刀を出し入れする口のところ)あたりにひびが入っていたらしく、以前「抜き付け」をしてみたところ、カパッという軽い感触を鞘を持つ左手に感じました。何度かやってもやはりそうです。前の持ち主の誰かが居合に使っていて割ってしまっていたようです。

当ブログに何度か書きますが、居合は「鞘の中に勝ちを含む」とされます。剣道のように刀を抜いて勝負する「立合」に対し、平常、つまり鞘に刀を納めている状態が「居」であり、ゆえに鞘から刀を抜き付けるところに居合の本質があるわけです。
ですから、試し斬りと異なり、居合は鞘が健全であることも重要です。
鞘が割れていると、正しい抜き付けができないばかりか、割れた場所から切っ先が飛び出して左手を切るなど大けがのもととなりかねません。
「忠國(偽銘)」も本当なら新しく鞘を作り直すのがいちばんいいのでしょうが、よほど「合わせ」(既製品)の鞘に出合わない限り、オーダーメードとなります。安くても6、7万円。漆塗りをほどこせば10万円は超えるでしょう。ん~ん、小遣いでは手が出ません。

というわけで、ひびの入っている鯉口を自分で補修してみました。道場の先輩はつり糸を巻いて鞘割れを補修しておられました。居合に励まれる関東在住のHさんにもメールで尋ねたところ、つり糸など強度のあるナイロン糸で鞘をきつく巻いてラッカーを塗るとのことでした。
私はちょうど手元にあった木綿のたこ糸を使って補修しました。きつく巻いて上からラッカー塗料を吹き付けてみました。塗料は2度塗りして固めました。
写真でご紹介します。

一見なんともないような鯉口。抜き付けをすると割れているのが分かります
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鞘を持つ鯉口から栗形までをたこ糸できつく巻きます
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たこ糸を巻き終わった状態です。たこ糸の表面に木工用ボンドを薄く塗り固めます
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塗装はムラが出ないようスプレー式のラッカー塗料を使用。塗装の前にたこ糸以外を養生テープやラップでおおいます
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塗料を吹き付けたところです。半日乾かし、さらにもう1度塗ります
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乾いたら養生テープなどをはいで出来上がりです
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鞘を持つと、たこ糸を巻く前より少し太くなって見た目も良くありませんが、けが防止と思えば、格好など気にしておられません。
お小遣いをこつこつためて新しい鞘を作れるようになるまでは当分これで間に合わせます。
by gayacoffee | 2010-10-24 00:11 | 居合道・日本刀 | Comments(0)

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