人気ブログランキング | 話題のタグを見る

マスコミよ! 太った豚にエサを与えてはならない

「ガヤマスのつぶやき」というより、「社説」です。

連日のようにテレビでコーヒー豆の価格急騰のニュースが流れます。

ブラジルなど新興国で上質のコーヒーがたくさん飲まれるようになったのが大きな理由、と伝えていますが、2007年の飲食店専門誌「カフェ・スイーツ」75号がすでに4年前にブラジル・サンパウロのコーヒー事情、最新カフェをメーンの特集でレポートするほど同国はコーヒー消費大国として有名です。同誌は2009年96・97号で同じ南米アルゼンチンのブエノスアイレスの伝統あるカフェ文化を現地レポートしています(右下写真=同誌96号表紙
マスコミよ! 太った豚にエサを与えてはならない_e0130185_211166.jpg
なにも昨年あたりから急にブラジルをはじめ新興国(中国は別として)の人々がコーヒーを飲み始めたわけではありません。かつて欧米の植民地だった発展途上国や新興国には、欧米のコーヒー・紅茶文化も伝わっているのです。
経済成長にともない上質品指向が強まったのは確かでしょうが、それは中産階級以上の人々でしょう。多くの貧乏人は輸出に回せない品質の豆を飲んでいると私はみます。また、重要な外貨獲得のための産業を国内で食いつぶすほどではないでしょうし、国際価格が高まれば余計輸出して外貨を獲得しようとするでしょう。
生産量は確かにケニア、タンザニアといったアフリカ中部で干ばつがあったり、コロンビア、グアテマラなどでも災害による被害が報告されており、品薄感はあります。しかし、世界中の生産地が不作というわけではなく、「量はある」(生豆問屋さん)そう。
昨年秋からの急激な価格上昇は、品薄感でそれ以前から価格がじわじわ値上がっていたところへ、投資先を血眼になって探している世界の投資家が「コーヒー豆は値上がりする」というムードに乗って投資し、いよいよ価格が上がり、さらに多くの投資家が市場に参加してくる、といった一種の“お祭り”状態にあるせいだと私は考えます。新興国の需要の高まりは事実としても、それがコーヒー豆価格上昇の直接の原因ではなく、“お祭り”騒ぎのネタのひとつにすぎない、と私はみています。

ところが、マスコミの報道は、新興国の需要説ばかりを強調します。投資家の動きを詳しく伝えません。なぜか、不思議なほど伝えません。
むしろ欧米、新興国のお金持ちの動きにこそ注目すべきでしょう。欧米の大富豪、アラブのオイルマネーに加えバブル経済真っ最中の中国マネーなどなど。先進各国の財政事情が悪化し国債にうまみはなく、低金利もあって金融商品も株も低迷。そこへもってきておいしい“お祭り”ネタでひと儲け、という投資家の思惑通りとなっています。
これはコーヒー豆だけではなく、近い将来の食糧危機をにらみ、投資家は大豆、小麦など穀物にも矛先を向けています。これはより深刻です。

いまのマスコミの報道では“お祭り”ネタをあおるばかり。結局、安値のうちに動いた一部の投資家の大儲けを後押ししているのです。言葉は悪いでしょうが、マスコミが「コーヒー豆価格急騰」を伝えれば伝えるだけ、太った“豚”=投資家はますます太るのです。始末が悪いのは、太った“豚”に限って逃げ足も速いことです。
異常な高騰は必ずや落ちるものです。そのとき最も太った一部の“豚”がにんまりと笑うのです。
マスコミのいまの報道は、太った“豚”にエサを与えているようなものです。

ついでに言うと、日本の調査捕鯨船に執拗に妨害行為・暴力行為を行っている環境テログループ「シーシェパード」などが、なぜ穀物の取引価格を吊り上げている投資家に対し抗議しないのか…。農産物の生産は環境問題と切り離せないはず。ここに彼らの裏が透けて見えるようです。
by gayacoffee | 2011-02-21 21:05 | ガヤマスのつぶやき | Comments(0)

鹿児島発! 生豆を水洗いする自家焙煎コーヒー店の日記


by gayacoffee