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久しぶりの刀剣鑑賞~無銘・刃長69・8cm、中直刃の太刀姿

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久しぶりの刀剣鑑賞です。知人から見せてもらいました。

無銘、刃長69・8cm、反り2・2cm(△△県登録済み)。鎬造り、庵棟、中切っ先。鍛えは板目に杢交じる、さらに「流れる」と加えましょうか(左写真)。肌立ち気味。古研ぎで見づらいながらも小沸(にえ)のある中直刃が見てとれます。知人いわく、「二重刃も見える」と。帽子、掃きかけ。横手を少し下げた跡があります。茎(なかご=刀身のうち柄に入る部分)は生(うぶ)ながら区送りほど少しばかりの磨り上げ、栗尻。ごく細かな刃こぼれあるも、刃切なし。

反りのある太刀のごとき姿。鎺(はばき)下あたりの肉から推測すると元々は重ね厚い刀だったようですが、経年の研ぎによるものか、重ねも幅もかなり減っています。
登録証に「無銘」と記載されていますが、かなり錆びた茎の差し表に、かすかに「平」とも「年」とも「行」「作」とも読めそうな銘らしき一字があるものの、素人の私には判読できません。
時代、国不明。知人は「疲れ気味の新々刀ではないか」と推測しています。というのも、姿は太刀で古刀然としていながら、茎が新刀以降のように見受けられるためです。
いろいろと不思議な刀です。
まず、かなりの研ぎ減りです。余程に実戦に使って刃こぼれを直したか、あるいは一時仕舞いっぱなしになって錆身となって研いだものか。新々刀で実戦に出たとなると明治10年「西南の役」が考えられます(太平洋戦争時も考えられなくもないが)。茎に残る生穴のころの鎺下の肉厚からみて、2mm以上は研いで減っているでしょう。研ぎがかけられた分、肌が立ったとみられます。
次に茎の荒れ具合です。知人は手を掛けて錆を落ち着かせた、と話します。荒れようから、最初焼け身となり再刃されたのではないかと思ったそうですが、その点は不明です。研ぎ減った姿で直刃の刃紋がほぼ均等に通っているのは一応再刃を疑ってしかるべき、でしょうか。焼け身とならなくても再刃する例もあったようです。
刀身の重さは727g。「拵えを作って居合に使いたい刀ですね」と私。

追記】=4月7日午前11時26分
写真を追加しました。知人から譲っていただきました。
太刀姿
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切っ先あたり。横手を3mmほど下げた痕跡がある
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物打ちの少し下あたり
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茎(なかご、中心=柄に入る部分)。ここに刀工は銘を刻む。「行」か「作」か「平」か、薄く銘が残っている。かなり傷んでボツボツとした朽ち込みは再刃? 薬品を使って刀の時代を古く見せようとししたり、正真の銘を消したり、偽銘を入れたり、多くの刀がよこしまな刀剣関係者の犠牲となっている。人の欲深さを物語るという意味でこれも歴史
 
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by gayacoffee | 2014-03-16 15:15 | 居合道・日本刀 | Comments(0)

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