生豆を水洗いするコーヒー焙煎を写真でご紹介
2008年 02月 12日
コーヒーは飲み物。火を通すとは言え、やはり清潔でありたいと思って、ひと手間、ふた手間をかけて焙煎します。
その作業の流れを写真を交えてご紹介します。
(1)生豆をていねいにピッキングします。ピッキングとは、虫食い豆やカビの生えた豆など質の悪い豆のほか、小石などを取り除く作業です。質の悪い豆が入っていると味に雑味が出ますので、とにかくとても重要な作業です。
写真の下、分けた豆が質の悪い、焙煎に向かない豆です。取り除いて捨てます。
(2)生豆のピッキングで取り除いたコーヒー豆以外のもの。小石、トウモロコシなどほかの種、ナットや釘なども入っています。これらはアフリカや南米などコーヒー生産国からコーヒーの生豆と一緒に海を渡ってきたものたち。ゴミですが、はるか遠くの国から来たと思うとロマンを感じますね。
(3)ピッキングした後、生豆を水洗いします。「お米を研ぐ」ようなもの。あっという間に汚れが浮いてきます。
豆の種類によっては右の写真のように汚れています。初めて水洗いしたとき、この汚水を見て洗わないで焙煎する気にならなくなりました。水面に浮いているのは、中身がスカスカの豆です。生豆のピッキングでは発見できなかった質の悪い豆で、これも取り除きます。
(4)3、4回ほど洗ってすすぐと水がすっかり透明になります。長時間水に浸しておくと生豆がふやけてくるので、ここまでの作業はとにかく大急ぎで行い、洗った豆はざるに移します。
(5)洗った豆はすぐにざるに移し、雨天以外は外で干します。雨の日はベランダで干しますが、冬場や梅雨時期はなかなか乾いてくれないのが悩みです。そんなときはクーラーのドライ機能を使ったり、扇風機で風を当てたりと工夫して、早く乾燥するようにしています。
(6)生豆が乾いたらいよいよ焙煎に入ります。当店の焙煎機は直火式。焼き上がりが香り高くなる反面、焼きムラが出やすいので、最初は弱火でじっくり豆の中まで熱を加え、水分を飛ばします。生豆には約20%の水分が含まれているため、豆の中まで十分にムラなく熱が通るようにします。
(7)1回目のハゼ、2回目のハゼを経て、焼き上がりです。ハゼというのは熱で豆がはじけることで、1回目は「パチパチ」と、2回目は「プチプチ」という音がします。この音が焙煎の進み具合のサイン。焼き上がり近くになると、釜の中の豆をすくって焙煎度を目で確かめ、「甘味」の出るタイミングをはかり、一気に冷却槽に豆を移し、急冷します。この瞬間が毎回緊張しながらも、最も楽しいときです。
(8)豆が焼きあがって冷えたら再びピッキングです。生豆で取り除けなかった質の悪い豆は白っぽい状態のまま。また、中が空洞の豆も取り除きます。焼きムラが出やすい豆はここでていねいに一粒一粒ピッキングして、おいしいコーヒー豆に仕上げます。
写真下は焙煎後のピッキングで取り除いた豆です。
生豆がこんなに汚れているとは驚きですね。
それに豆と共にやってくる珍入者にもほんとにロマンを感じます。
10年、20年と経つと、珍入者も様変わりするのではないでしょうか。
「生豆を水で洗う」というのは本(近々ご紹介します)で知り、実際やってみて驚きました。こんなに汚れたコーヒーを飲んでいたのか、いや売っていたのか、とちょっと冷や汗もの。それからというもの、せっせと洗って乾かしています。