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勘違い経営者がいませんか?

私たちは良いものを安く買いたい、と思います。収入がなかなか伸びないため、できるだけ安いものですまそうと思います。その製品を作る会社は当然、作る経費を抑えます。社員もなかなか補充できません。もっと安く部品ができないか、中国や東南アジアに工場を移したりします。そうするといままであった日本の工場で働いていた人たちは職を失います。収入が減るから、もっと安いものを買おうとします。会社もぎりぎりで利益が出るか出ないか、毎月経営者はひやひやものです。

そのせいか、バブル経済が崩壊しデフレ状態に陥ったあたりから、経営者が社員(サラリーマン)に向かって「経営者感覚を持て!そういう社員しか生き残れない厳しい時代だ」と訓示をたれるようになりました。

ふむ。言わんとする気持ちは分からないでもありません。まず、この製品を作るのにいくらかかっているのかというコスト意識、そして自分がもらっている給料を得るために会社はいくら稼がなければいけないのかという生産意識、また今後会社を伸ばす新しい事業や製品を日ごろから考えてほしいという開発意識…でしょうか。
経営者が嫌うタイプの社員は、まさにこれらの逆でしょう。朝9時から夕方6時まで会社に居ればいい、というタイプ。俗に言う「給料泥棒」っていうやつです。

でも、ほとんどのサラリーマンは結構まじめなんじゃないでしょうかね。そりゃあ、ときには喫茶店で営業回りの途中で休むこともあります。なかにはパチンコしているやからもいるでしょう。それでも、「居ればいい」と言ってまったく仕事しない社員というのはごくごく少ないと思います。
経営者の言うダメ社員の多くは「70%」の社員です。営業目標の70%、愛社精神70%。いわゆる余裕を残して仕事しているような社員です。

考えてみると、サラリーマンは自分のエネルギー100%を会社にささげていいのか、大きな疑問です。会社に身も心もささげるのは経営陣です。70%を会社に尽くし、30%は家庭や趣味に生かすのがサラリーマンの姿ではなかったのでしょうか。もちろん、仕事にも人格的にも未熟な30歳ぐらいまでは、自分の人生のために仕事に打ち込むことは貴重な財産です。20代はとにかくしゃにむに働いていいと思いますが…。

それにしても、経営者が社員全体に向かって「経営者感覚を持て!」とは、どういうことでしょう。

まず、「給料泥棒」を採用したのは経営者たるあなたの失敗です。途中から「給料泥棒」になった社員がいるならそれもまた、そんな社風を作った経営者の責任です。
100%、会社に全力で向き合うのは社長、役員といった経営者です。サラリーマンは、そんな経営者がつくった経営方針に基づいて働くだけです。また、経営者には社員が健康に暮らす責任と義務もあります。サラリーマンは70%の力を会社に尽くし、残りで家族と自分の人生を大切にすればいいのです。

「経営者感覚を持て」と経営者が言う相手がいるとすれば、それは、この会社を将来背負ってくれると期待する「経営幹部候補生」です。それも静かな部屋で1対1でそっと言うか、仕事の現場でガツーンと怒鳴りながら伝えるのが美しい、と勝手に想像します。

朝礼などの場で、「経営者感覚を持て」と社員全員を前に訓示をたれる社長は、自らの能力不足を告白し、社員に責任転嫁しているようなもの。恥ずかしいことです。「経営者感覚」を持つ社員なら、社長に言われなくても、とっとと独立して経営者になるのですから。
by gayacoffee | 2008-02-24 22:34 | ガヤマスのつぶやき | Comments(0)

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