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NHK「生活ほっと」の「夜間中学」に感動

4月8日だったと思います。NHKの朝の番組「生活ほっとモーニング」は、東京の「夜間中学」で学ぶ人々を丁寧な取材で伝えていました。

「夜間中学」は、公立中学の教室を使い、家庭の事情等で中学を卒業できなかった人、海外から帰国して日本語を学ぼうという人などを対象に教育の機会を開き、修了すると中学校の卒業証書を授与してくれる教育機関です。
生徒の平均年齢は60歳を超えています。

ある女性は、体に障害があったため中学に行けず、日本語の読み書きができないまま「高齢者」と呼ばれる年齢になりました。子供のころ、優しかった弟が半分残して持って帰ってきた給食のパンを食べた記憶があるそうです。文字が読めず書けないことでくやしいみじめな思いもたびたび。「自分なんかこの世にいなくてもいい。死んでしまいたい」と何度も思ったとか。「こんな体に生んだ母親を恨んだ」とも。それでも生きて、夜間中学に通い、日本語が書けるようになりました。卒業前、半年かかって原稿用紙50枚の「自分史」を綴りました。それを学校のみんなの前で読み上げました。ときどき詰まりながらも、「学べたこと」への喜びにあふれた文章でした。
その後、彼女は亡くなった母へ感謝の手紙を書きました。たどたどしい筆使いでしたが、「お母さん、大好き」という自筆の手紙を書き上げました。

元夜間中学の教諭をしていた男性は、かつての教え子のことを紹介しました。
その女性は、北海道で生まれ、家が貧乏で中学に行けず、結婚。若いころ、役場の受付で自分の氏名を書く欄に、名字をかかず「〇〇子」というファーストネームだけ書いたことから、役場の職員に笑われ、悲しいことに彼女は「この場は笑った方がいいのか」と思って、彼女も一緒に笑ったそうです。氏名は役場の職員が代筆しました。
60歳を超えてから「どうしても中学を出たい」と、夫の応援もあって上京し、夜間中学で学びました。北海道に夜間中学がないため東京に出てきたのです。

バブル経済で浮かれ、その後の長い不況で右往左往しながらも、小学・中学は当然、高校にもほとんどの子供たちが進学するのが「当たり前」、「こんなご飯なんか食べたくない」と平気で残す子供、その親、ゲームセンターに入り浸る少年たち‥そんな現代にあって、中学校で学べなかった人が全国で百数十万人もいるという現実に、私は驚きました。

「勉強がしたかった。夜間中学で勉強できて良かった」と語る70歳を超えた「中学生」の顔のなんと神々しいことでしょう。
Commented by bonn1979 at 2008-04-14 12:52 x
その番組は見なかったのですが
「学ぶ意欲があるのに学ぶ機会がない」人たちがいる
ことは社会が一番気にかけるべきことの一つですね。
夜間中学生への優しい視線にgaya coffeeさんの人柄を重ねました。

私も、むかし、東京の原宿で働いて夜学ぶコースの教員をしていましたし、北海道で昼は看護師として勤務し、夜大学院へ通う方たちへ講義をしたことがあります。
こういった方の勉学の意欲にはまったく敬服しました。

現在の坂之上のキャンパスでは、ガヤコーヒーさんのメニュを撮ったりしていますが、本来の仕事は夜学である大学院での指導です。昼の仕事を終えて、ここまで通ってこられる院生の努力・意欲には圧倒されますね。
Commented by gayacoffee at 2008-04-14 21:02
bonn1979さん、ありがとうございます。
なんだかんだ、やはりNHKはいい番組を作ります。朝からジ~ンとしてしまいました。私など、本当に恵まれた境遇で育ったのだなあ、と思いました。恵まれている者は学ぼうとせず‥私のことです。今後、ぜひbonnさんの体験を聞かせてください。
by gayacoffee | 2008-04-11 22:17 | ガヤマスのつぶやき | Comments(2)

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