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「高校はどこを出たの?」

鹿児島は出身高校が意味を持つ風土のようです。

私の母校は入学当時創立5年しか経っていませんでした。学生時代まで、「伝統」だの「歴史」だの全く意識せずに過ごしました。
いわゆる「伝統校」の底力(?)を感じたのは、最初が20数年前、大学4年の就職活動期でした。
私が「マスコミ志望」(実際は新聞記者志望)というので、親ばかというか、父が地元テレビ局にコネのある某氏に「うちの息子がマスコミに入りたいというのですが、どんなものでしょうか」と当たってくれたらしいのです。
で、返ってきた質問は「息子さんの出身高校はどこですか?」だったそう。父がわが母校の名を挙げると、某氏は露骨に「あ、そう。鶴丸か甲南じゃないの」と言ったそうです。後日父から聞いた話です。
某氏が挙げた両校とも旧制一中・二中以来の歴史を持ちます。旧制高校、そして帝大へ進むエリートコースでもありましたし、現在でも両校に進学するのは親のステータスでもあります。
ただ、権威とかが嫌いな私は、20数年前、某氏の言葉を聞いて「あ、そう。こちらこそ願い下げだ」と嫌悪感を持った記憶があります。「伝統」というものに、前時代的な理不尽さを感じました。
「なんだ、鹿児島は戦前と変わっていない」と。

それから20年以上が経過し、前の仕事で、地元の私立の「伝統校」を担当する機会がありました。甲子園でなじみのある高校です。
現在でも「民」よりも圧倒的に「官」が強い鹿児島にあって、100年近い昔に私学を創立しそこに学んだ人々のなみなみならぬ苦労と努力が、校訓としていまもしっかり伝わっています。入学式、卒業式はもとより様々な機会に校訓が読み上げられるのです。
校歌を誇らしげに歌う生徒、そして来賓席のOBの方々の一体感…。
そのとき初めて「伝統校」がうらやましく思えました。
来賓として招かれた私は、同校の入学式、卒業式の厳粛さを肌で感じながら、「伝統というのは時間がつくるのではなく人が築いていくんだな」と思いました。「人」とは在校生、卒業生、学校関係者、保護者などです。OBや保護者会と学校が、まるでひとつの家族のような団結力を誇ります。

ほかの歴史ある私学もOBの結束力が固いですね。公立を眺めても、前述の鶴丸、甲南はじめ鹿児島工業、鹿児島商業といった高校もOBが固くまとまっています。
やはり、伝統は「人」がつくるのです。

わが母校「錦江湾」もすでに30年以上の歴史を刻んでいるはずです。
しかし、私はいまだに同窓会・OB会に出席したことがありません。母校の伝統を築く役割を私は何もしていません。
ひょっとすると、私は母校を「卒業」できていないのかもしれません。
そう言えば、高校の卒業式の日、私は大学受験のため上京していた記憶があります。
by gayacoffee | 2008-12-28 19:26 | ガヤマスのつぶやき | Comments(0)

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