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久々の道場「後ろ足が流れている」との注意あり

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1カ月半ぶりの居合道場での稽古で、先生にあちこち指導を受けました。
重要な点をいくつか紹介します(自分への戒めの記事です)。※右写真は、無双直伝英信流宗家・清水寿浩氏(英信館館長)の著書「居合道修行の道のり――稽古日誌 遊剣録(一)」(4,000円)。居合の稽古を50年以上続けてこられ自らの修行と数多くの門弟への指導の中で会得された技と精神が分かりやすく書かれています。

抜き付け時に後ろ足が流れている
何度も書きますが、居合道はとっさに害意を持つ敵に斬り付けられた際、一瞬先、あるいは「後の先」に抜刀し敵を斬る、または自分の刀で受け流してすぐさま敵を斬り伏せる、という武道です。その基本であり極致は「抜き付け」です。
私が教わっている無双直伝英信流の「正座の部」では、正座の姿勢から、左の鞘手で鯉口を切り(親指で鍔を押し刀をハバキ分少し抜き出す)つつ、つま先立ちながら下から持ち上げる感じで右手を柄にかけ刀を抜き出し、鞘の中に切っ先3寸を残したところで、鞘手をぐっと左側に回すと同時に鞘から弾き出すように横一文字に斬り付けます。威力ある抜き付けとなるために鞘手の働きが重要であることはすでに書きました。
今日の稽古で先生に注意を受けたのは、前にぐっと踏み出し威力ある抜き付けをするためには、踏み出す足の反対、つまり踏ん張る側の後ろ足でした。
私のつま先立った足が「流れる」、つまりつま先全体がしっかりと床に着いておらず、ぐにゃと後ろ足の指先だけを床に残して前倒しになっていたのです。
これでは踏ん張りが利きません。
居合道では、動く反対側の手足の働きを重視します。前に出るときは後ろから押す感覚、後ろに引く場合は前の胸から押される感覚で重心を移動させます。
前の敵を1歩出て斬り付けるには、前に進むのではなく、後ろから押し出す感覚でなければいけません。そのためには後ろ足の踏ん張りが大切なのです。

早く斬り付けようとの焦りで動きが小さくなる
5本目の形「八重垣」で指導を受けました。
「八重垣」は、1本目「前」と同様に、抜き付けて、まず敵の顔から肩あたりを横一字に斬った後、後ろに引く敵を追って、上段に振りかぶりながら左足を大きく1歩出して斬り下ろし、横血振いし刀を鞘に納めていると倒したはずの敵が(私の)足に斬り付けてくるので、すぐさま抜刀、その攻撃を払い、振りかぶって上段から斬り下ろしとどめをさす、という形です。
先生からの指導は、抜き付けから上段に振りかぶって斬り下ろす流れを私が急ぎ過ぎるあまり、動作が小さくなり、敵を追い込む1歩が小さくなってしまう点です。
先生「いくら急いでも、敵に刀が届かなければ斬れない。それどころか、敵に斬り返される隙ができてしまう。初めはゆっくりでいいから一つひとつの動作をしっかりと確実に身に付けなさい」
早いことが良いこと、との間違った焦りが出ていました。

7本目「介錯」の正しい形
「介錯」はご存じの方もいらっしゃるでしょうが、切腹する人の首を落とす武家の作法です。切腹は武士として名誉ある死の儀式ですから、ほかの形と違い、刀を抜く際も音をたてず、すべてに「礼」をもって行わなければなりません。ちなみに切腹は名誉であり、斬首(死罪)は刑罰で不名誉とされました。
無双直伝英信流では介錯人は正座からつま先立ち刀を抜きつつ立ち上がりながら右足を1歩引き、刀を片手に頭の後ろで横に構えます。
先生から受けた指導点は、抜いて後ろに下がりつつ頭の後ろに持って行く刀の動きでした。私は鞘手の働きと抜き切る前に左足を引くという正しい形を忘れていました。
「介錯」は形の稽古を通じ、自らが切腹するときの覚悟を持つという、精神性の高い形です。ゆえに、演武などで披露することはなく、あくまでも「たしなみ」として形を学びます。

ほかにも何カ所も注意を受けました。自主トレを日々続けながら、道場で先生に指導していただくことで正しい形を学んでいきます。
Commented by イマガワ=ジン at 2009-02-13 00:40 x
>居合の足運び
体で覚えるしかなさそうですね。踊りでもそうですが私は他人の動きを観察して自分体をそう動かすと言うのが苦手ですから(中学体育祭や盆踊り踊った時も大苦戦)いざ習うにしても人以上に苦労しそう。

>介錯
初めて知ったときなんでそんなのあるの?と思いました。「先生」クラスなら実際に首を落とせる技量ありそうだな。
Commented by gayacoffee at 2009-02-13 13:13
イマガワ=ジンさん、足腰については能や狂言、歌舞伎、日本舞踊の動きにも通じるかなと思います。
「介錯」は、ブログで紹介すべき性格ではないながら、わずか150年弱前まで「切腹」という儀式があり「介錯」もあったわけです。
居合道自体、日本刀を帯びるため、現代の日常生活から離れた武道です。以前当ブログにも書きましたが、香港に行ったとき現地のガイドさんに「アジア人の中でも日本人は隙があるからすぐ分かる」と言われて以来、繁華街や雑踏で人々の動きに興味がわき、確かに隙だらけ。携帯メールを打ちながら歩く若者、前から来る人とぶつかるまで避けない人、後ろの気配を感じようとしない集団…。居合道は時代錯誤のようながら、かつて日本人は日々の生活に周囲の「気」を感じながら生きていて、それを取り戻す武道と思っています。「門を出れば7人の敵がいる」などと私の子供時代には言われるものでした。そういう緊張感を私なりに養いたいと願います。日本刀を帯びる緊張。まして「介錯」は「切腹」という儀式での「礼」に基づく形。これを古人は「たしなみ」として身に付けていたと思うと、恐るべし!です。もっとも、平和なことは良いことですが。
Commented by イマガワ=ジン at 2009-02-13 19:07 x
居合いの精神性は「士道の精神」とは言うけど個人的にはちんぷんかんぷん。
居合でも目上の人の横に座る時に左に座わったり、他人の刀への鞘当てはダメですよね?
Commented by gayacoffee at 2009-02-13 19:51
イマガワ=ジンさん、ありがとうございます。
居合道に限らず、「礼」は大切だと思います。社会的地位とか財産とかがいまは基準になる傾向がありますが、それとは別の価値があってもいいのではないかと。ささやかなコーヒー店を営んでいて、一種の茶室かな、と感じます。別の機会に書こうと思っていますが、コーヒーを飲まれる方に、この方はどこどこの社長さんだとか、リタイアされた方だとか、そういう感情は一切抜いて接します。すべての方が同じようにお客様で、サービスも同じ。そして「礼」も同じ。
ただ失礼な相手には、なだめ、それでも正していただけない場合はそれなりの対処をする、という態度を、客商売であっても持つべきと考えます。居合道に学ぶことが大きいです。
Commented at 2011-04-22 03:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by gayacoffee | 2009-02-12 00:57 | 居合道・日本刀 | Comments(5)

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