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Q.ドリップ、サイフォン…どの淹れ方がおいしい?

来店されたお客様からよく尋ねられる質問のひとつが、「いまコーヒーメーカーを使っているんですが、お店で飲むコーヒーのようなおいしさが出ないんですよね。やっぱりドリップ式が良いんですか?」「サイフォンなんかとても雰囲気があって憧れますよね。ネルで出す(抽出する)方法もあるんでしょう。どうなんですか?」。

正直申し上げて、分かりません。
と、いうよりもその方の生活パターンの中でコーヒーとどう付きあえるか、も考慮すべきと考えます。どれだけの手間をかけられるか、ですね。
ご質問にあるように、コーヒーの抽出方はさまざまです。最近ではエスプレッソマシンを使うコーヒー店も増えています。
抽出方法にはそれぞれ一長一短があります。
コーヒーメーカー コーヒーの粉をドリッパーに入れ貯水槽に水を入れてスイッチを入れるだけ。とてもお手軽です。決まった量の粉と水で抽出するとばらつきのない味が楽しめます。なによりも、炊事や掃除などしながらコーヒーを点てられるのが忙しい毎日を送る人にとって便利です。ただ、一般に「蒸らし」ができずお湯の温度が高めですので苦味が出やすいようです。粉の量で調整すると、お気軽にコーヒーを楽しめる抽出方法です。
ペーパードリップ式 ポットで注ぐ分、コーヒーメーカーよりも手はかかりますが、器具が安価に求められますし、味や香りも楽しめる抽出方法です。ポイントは注ぐ際のお湯の温度を85℃~90℃ぐらいに下げること。沸騰したお湯をいきなり注ぐと苦味・雑味が出ます。ひと手間かかりますが、別のポットにお湯を移すだけで湯温が10℃下がります。これだけでまろやかになります。抽出後の粉とペーパーがゴミになる点でエコの時代にいかがか、とおっしゃる方もいらっしゃいます。手軽さと味・香りの面ではお勧めです。
サイフォン式 以前私も使っていたことがあります。ひと昔前の喫茶店にはカウンター内にずらっと並んで、いかにもコーヒーを飲む店、という雰囲気をかもし出してくれました。味・香りの点を言うと、私が使っていたのは20年ほど前のことなので忘れました。沸騰したお湯が一瞬にして管を駆け上ってコーヒーの粉と混じり合い、火を落とすと漉されて下のサーバーに落ちるという仕組みですので、湯温が高い可能性はあるでしょう。ご家庭でお使いの方もまだまだいらっしゃいます。コーヒーを点てる準備からを楽しんでおられるのでしょう。単に味や香りだけにとどまらない、コーヒー文化を愛するという面で良い器具だと思います。コーヒーメーカーやペーパードリップなどよりも後片付けの手間は少々かかります。
ネルドリップ式 味と香りを追求する老舗の喫茶店でマスターが片手にネルドリップ、もう片手にポットを持ち、点滴のようにじっくりと点てたコーヒーは、まさに職人技。ネルで淹れたコーヒーはとてもまろやかとされます。ご家庭でネルドリップ式を使う場合の問題はネルの管理に手間がかかる点です。ネルは乾かないよう清潔な水に浸して保管しなければいけません。何十回も使ううちに目が詰まったりしてくるため定期的に新しいネルと交換する必要もあります。抽出するにもポットからお湯を落とす技術を習得する必要があるでしょう。1滴1滴お湯をコーヒー粉に落とすともなると、1杯分を抽出するのに4分以上かかったりします。本格的に自宅で専門店なみの味と香りを、とおっしゃる方はぜひ挑戦してください。
エスプレッソマシン 家庭用のマシンも販売されています。この場合、コーヒーの粉を細挽きにしましょう。蒸気で一気に抽出する方法なので中挽きぐらいでは十分にコーヒーエキスが出てくれないわけです。機器が高価だという点、抽出後に掃除をしっかりしなければいけない点などマイナス面はあります。そもそもエスプレッソ自体がイタリアの文化ですので、食生活の異なる日本人の口に合うのかという点を指摘する専門家もおられます。辛口の方は「粉っぽい苦いだけの飲み物だ」とも。実際、使う豆はイタリアンローストと呼ばれる真っ黒になるまで焼いた豆です。苦味がガツンとくる焙煎度です。それゆえ、イタリアや南米などエスプレッソが主流の国々では砂糖をたっぷり入れて飲むのが普通です。日本にエスプレッソを普及させたとも言えるチェーン系のコーヒー店は、キャラメル・ラテなどアレンジコーヒーが「売り」になっているようです。ちなみに私個人はエスプレッソをブラックでは飲みません。
その他 紅茶を点てるようにコーヒーの粉を入れお湯を注ぎ、水鉄砲のように上から濾過布を張った器具で押して漉す抽出器具もあります。これはお手軽です。この場合もお湯の温度に注意しましょう。紅茶は沸騰仕立てでいいでしょうが、コーヒーは少し冷ましたお湯で注ぐとまろやかになります。

いずれにせよ、おいしいコーヒーを楽しむには抽出器具よりも、自分に合った焙煎度の豆を見つけ新鮮なうちに飲むことではないか、と私は思います。焙煎から1カ月も2カ月も経った豆は酸化して、どんな器具を使ってもおいしくはならないでしょう。まして粉にしてしまうと、3日で香りが消え、味も1週間が限度。「冷凍庫に入れると長持ちする」と大量に購入されるのはいかがなものか、と私は疑問を持っています。
最後に水です。水道水を沸騰させてもカルキ臭が残ります。カルキを抜く浄水器などの水を使うと香りがすっきりとしてきます。
Commented by bonn1979 at 2009-02-25 22:50 x
なるほど
やはり焙煎したての豆という点がポイントですね。
*坂之上の花の写真落ち着きますね。第2360号と第2361号にお借りしましたよ。
Commented by gayacoffee at 2009-02-25 23:36
bonn1979さん、ありがとうございます。
焙煎直後の豆はまだパリパリしています。1日置くと落ち着いて味も香りもよくなり、3、4日後ぐらいで芳醇な味と香りになってきます。花と言えば、当店すぐ近くに大変にきれいな庭木を見つけました。明日撮影します。
by gayacoffee | 2009-02-25 14:56 | おいしい珈琲Q&A | Comments(2)

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