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感謝、感動のお話。夜はジャズ演奏、そして焙煎

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当店は鹿児島国際大学内に置かせてもらっている「カフェ」で、とてもありがたい話を聞きました。
学生さんご本人が特定されるといけませんので、かなりぼかしてご紹介します。

7号館前の林の中にあるテイクアウト専門の「森のガヤカフェ」(左写真=昨年撮影)で、土曜の午後にあった話です。
お昼の授業を終え、同カフェに来てくれたある学生さん。その日、店を担当したのはスタッフUさんでした。
Uさん「お昼までだったの? もう終わり?」
学生さん「はい、土曜は来たくないんですよ」
Uさん「そうだよね。(授業を)受けないといけない科目があったの?」
学生さん「そうなんです。休みたかったけど…。でもここ(森のガヤカフェ)があるから来れます。コーヒーを飲むのを楽しみに来ています」
Uさん「ありがとうございます」

ああ、なんというありがたい言葉でしょう。
スタッフUさんが「うれしかった」と妻に伝え、妻から聞いた私は、じーんと胸があつくなりました。お客様にお金をもらって、感謝までいただく商売をさせてもらえることに、素直に喜びを感じます。
正直、夜中までの焙煎がいく晩も続くと体が重く、頭もぼーっとしてきます。でも、こうした言葉で身も心も洗われます。
「よし! もっとおいしい豆を焼こう!」

一方の、図書館4階の学食的なレストラン「図書館ガヤカフェ」。正午~午後1時は、学生さんや教職員・職員の方々で満席となります。昼食メニューが中心ながら、コーヒーは当店の自家焙煎豆を使っています。
「おばちゃん、“スーパー大盛り”でね」と言ってくれる男子学生が、「まるで自分の子供みたい」と、スタッフ一同、まごころサービスに努めています。一般の人も利用できますが、午後1時以降の方がゆっくりできるでしょう。
「森のガヤカフェ」「図書館ガヤカフェ」もお気軽にどうぞ。

余談ですが、妻やスタッフさんは「もっと売上を伸ばして支店ももっと作って…」などと笑い話半分で私に言いますが、私はその気はありません。
第一に、「売上主義」が嫌いです。たしかに利益率10%として、売上1000万円で利益100万円、一方売上1億円で利益1000万円。税金は置いて考えるとしても、その900万円の差を様々な事業に投資もできるでしょう、社会貢献もできるでしょう。
ただ、1億円を売り上げるためには、例えばコーヒー豆だと1粒1粒ハンドピックをし水洗いし翌日必要なだけの豆を焼いていく、といった、作り手の目が届き触れるレベルから、大型焙煎機を導入し効率化を図りムダとされるところを削っていかなければ達成できません。私は、というと一日中焙煎をしなければいけないでしょうし、そうなると焙煎専用の部屋を新たに造る必要が出てきます。生豆も多めに保管できる倉庫が必要で、温度・湿度を一定に保つ空調設備が不可欠です。1億円規模の売上を目指すには、製造・販売業の当店だと設備投資が必要になります。金融機関に多額のお金を借り(貸してくれれば、ですが)、その返済も毎月固定費で加わります。
「原価率はどうか」「競争見積もりを取れ」「もっと仕入価格を落としてもらえ」「動かないメニューは削れ」「営業活動をやれ」…「商店」から「企業」へ変わる過程では避けられない現実です。
多くの経営者はこうあるべき、と願っているでしょう。「会社」とは利益を出すべく、市場を開拓し競争をし続ける運命にあるのです。

でも、偏屈者でしかも精神的に「競争社会から下りた」、世間的には「負け組」の私は、コーヒー店でメシが食えるようになって、一緒に働くスタッフさんに当店で働いて良かったと思えるような店にし、なによりも私がコーヒー豆の一つひとつにもっと目配り・勉強ができる、そんな分相応な規模で店は十分だ、と思っています。もうちょっと加えるなら、たまにひとり旅に出て英気を養えるぐらいのゆとりが出せるようになれれば万万歳です。
「法人」(会社組織とか)にもしません。「会社」という、バクのような不思議な“生き物”に不信を抱いています。
会社のために働くなど、御免こうむりたい。人は自分のために働くのです。そして仕事などを通して自分を育んでくれる社会に多少なりとも貢献できれば幸福感を得られます。

個人商店には個人商店の良さがあって、個人商店だからこそ、大手チェーン店や企業化していくコーヒー店ができないことができるのではないか、と思っています。
〇〇商店、というような駄菓子屋のようなゆるさが、この世知辛い時代にあっていいのではないか、とちょっと霞を食べるようなことを考えています。「甘いよ」と言われようが、以上が、「うつ」を得て私なりにいろいろ思い悩んだ末の、いまの結論です。

今夜はジャズピアノの生演奏が午後7時から行われます。お時間のある方はぜひご来店ください。
焙煎は3種類を予定しています。
今日は静かな店内なので、ハンドピック、水洗いも順調に進むのでは、と思っています。

追記】=午後3時14分
今日は「沖縄復帰記念日」です。
37年前の昭和47年の今日、アメリカの統治下にあった沖縄が日本に返還されました。
衝撃だったのが車線の変更でした。ニュースで、この日から従来のアメリカ型右車線から左車線の走行に一挙に変わる姿を見て、国家の力というものを、子供ながらに驚いた記憶があります。覚えているのが「屋良主席」。アメリカ統治下の自治政府で長く主席を務めておられたこの方のお名前も、よくニュースに登場していました。

沖縄返還は、県民、国民の願いでありながら、背景には冷戦構造、日米安保条約が複雑にからんでいました。昭和44年の日米首脳会談でアメリカ・ニクソン大統領は日米安保延長と引き換えに沖縄返還を約束しましたが、屋良朝苗主席や復帰賛成派の県民の期待とは裏腹にアメリカ軍基地をそのまま維持、「72年・核抜き・本土並み」の返還といったものが政府間で決定し、5月15日に「復帰」を迎えたわけです。当時の佐藤栄作首相はニクソン大統領との取り決めで、非核三原則の拡大解釈や核兵器持ち込みに関する秘密協定などアメリカの利益を最大限尊重した、というのが現在の歴史解釈です。
同県はいまだに「日本国のため」に基地に多くの土地を奪われたままであり、県民所得は全国最下位ながら、出生率や高齢者の多さ、暮らし方・生き方などで新たな時代を予測させる地域として注目されます。まだ私は行ったことがありません。何カ月かでも暮らしてみたい土地です。

追記】=16日午前0時35分
午後11時半に焙煎作業がすべて終わりました。
●ブラジルNo.2(深煎り)
●グアテマラSHB(深煎り)
●エチオピア・モカ・レケンプティG5(深煎り)

最後の豆を冷却槽に落したとき、留学生Cさんが店のドアをコンコン。
焼き上がったばかりのコーヒー豆を見て、「こうやって焼くんですか」と驚いていました。焙煎後のハンドピックに入ると、Cさんは「お仕事中、大変失礼しました。おやすみなさい」と、丁寧な日本語であいさつして帰っていきました。ありがとうございます、Cさん。
留学生といえば、妻の話によると、韓国から大学に留学中の学生さんはビワを見たことがなかったらしく、お弁当に入れていたビワ(丸ごと1個)の食べ方が分からず捨ててしまったそうです。韓国にはビワはないのでしょうか。

焙煎が終わって、今日最後のブログ書き込みがこんな時刻(午前0時半)になった理由は、ネットで木刀用のプラスチック鞘を買う手続きをしていたためです。木刀と鞘のセットはあちこちのネット通販で売っているのです。木刀はすでに持っているため、鞘だけが欲く、ようやく商品として登場しました。
1年以上も前に、居合用の模擬刀を買った際、「会員」になっていたはずでしたが、システム変更のため、新しくID・パスワードを登録しなければならず、その手続きと以前購入分のポイントを調べているうちに時間があっという間に過ぎてしまいました。
インターネットは便利なところもありますが、時間をどんどん食べてしまうのが欠点です。ブログも同じ。日に何本か書くと、最低でも正味1時間以上はブログに費やしている計算に。もう少し時間の使い方を考えないといけない、と反省しています。
by gayacoffee | 2009-05-15 14:20 | 焙煎人日記 | Comments(0)

鹿児島発! 生豆を水洗いする自家焙煎コーヒー店の日記


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