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少し雲の多い晴れの午後。今夜も3種類焙煎

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穏やかな晩秋の午後が過ぎていきます。昨日より少し雲が空に浮かんでいます。
店内飲食のお客様が多かった昨日と比べ、今日は静かな時間が続いています。

お昼に来店された、芸術を生業とされておられるお客様が「毎朝起きたときに白紙になっていないと“表現”することはできないね。マニアックな世界なら昨日の自分の継続で、そこをずっと掘り下げていけばいいだろうけど、(芸術は)昨日の自分を引きずっていてはいけない気がする」とおっしゃいます。
「何年か前の作品と同じものを求められたらどうされるんですか?」
お客様「技術としてはできないことはないだろうけど、今の自分じゃないよね。過去の作品はテクニックに入ってしまうよね」
「過去の自分を壊し続けるってしんどいことですよね」
お客様「新しい自分を探していくとどうしても以前の自分を壊して行かざるを得ない。そうでないと“表現”ではなくなるよね。なにかしら動いていると生まれてくるものだと思う。やらないと前に進まないよね。楽しいものですよ」
「『楽しい』ですか。『苦しい』とおっしゃるかと思いましたが」
お客様「苦しさのもとに楽しさがあるんじゃないかな。楽しいからやっているんだと思うよね(笑い)。コーヒー(焙煎)もそうでしょう。いろいろ、ああじゃない、こうじゃないと試すでしょう」
「そうですね。基本的に楽しくやっていますね(笑い)」
ということで、今夜も3種類のコーヒーを焙煎します。
※左上写真はJR指宿枕崎線の坂之上駅
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追記】=午後7時26分
とっぷりと日が暮れ、静かな夜となりました。
昼過ぎからぽつぽつと店内飲食のお客様、コーヒー豆をお買い上げのお客様が来店くださいました。

ふと思いつき、接客の合間に、今年2月にFさんからいただいた「コーヒーに憑かれた男たち」(嶋中労さん著、中公文庫=右写真)を読み直しています。先日東京に行った際、この本の中に出てくる南千住「バッハ」を訪れました。銀座の「ラフェ・ド・ランブル」には以前、2回行ったことがあります。もう1店、吉祥寺「もか」という店が登場しますが、店主がすでに亡くなられたため、行きたくとも行けません。以上の3店が日本の自家焙煎店を築いた“御三家”とされます。
「コーヒーに―」を読み、直接「バッハ」に出掛けてコーヒーを飲みたい、店を見てみたい、という願いが先日叶ったわけです。1回行ったぐらいで何か分かったようなことは書けませんが、ひとつ大きな収穫があったのが、スタッフの動きでした。コーヒーを点てる男性(30歳ぐらいでしょうか)がまるで管制塔のように機能し、注文を受けてから手際良くコーヒーを立て、「〇〇のテーブルの方から先に出してください」などと配膳するスタッフに指示していきます。コーヒー豆の注文が入ると別のスタッフが、おそらく客席の奥にあると思われるコーヒー豆の保存室へ行って準備してきます。
私がいちばん気になっていたのが、お客が注文してからどのくらいでコーヒーが届くかでした。「バッハ」だけでなく、千歳船橋「ホリグチ」でもそこに関心がありました。はっきり言うと、「名店と呼ばれる店は客を何分待たせるか」です。両店とも満席で、次々にお客がやってきます。スタッフもじっと立っている暇もないほど。
私は、ほとんどひとりで厨房にいるため、お客様が重なると結構な時間お待たせすることがあり、心の負担になってきました。コーヒー店、飲食店でアルバイトさえしたこともないまま「ガヤコーヒー」を始めたせいでもあります。お客様をお待たせすることに異常にナーバスになってきました。
両店を訪れ、待つ時間も楽しみということを客のひとりとして感じました。もちろん限度はあるにせよ、焦りが表われた素早い接客より、ゆったりした空間としっかりとした味がおもてなしなのです。
先日の東京行きを思い出しつつ、「コーヒーに―」を読み返しています。

追記】=午後11時14分
今夜の焙煎が終わりました。
●ブラジルNo.2(中深煎り)
●ブラジルNo.2(深煎り)
●コロンビア・スプレモ(深煎り)
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焙煎機を止め静かになった店内に有線放送から70年代のヒット曲が流れてきます。「いとしのエリー」も70年代だったのでしょうか。この曲を聴くと、楽しく観ていたテレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」を思い出します。
閉店前に愛刀家Tさんが来店されました。東京土産をお渡ししました(写真右)。日本美術刀剣保存協会発行の「刀剣美術」のバックナンバーです。刀剣博物館の玄関ロビーで「自由にお持ち帰りください」とあったため、もらってきました。

追記】=午後11時54分
パソコンを閉じようとしたら、有線放送から「青葉城恋唄」が流れてきたので、また【追記】しました。
数年前に訪れた仙台の街は、本当に緑にあふれていました。少々歩きますが、我慢すれば駅前から青葉通りから青葉城(仙台城)跡などぐるっと散策できます。青葉通りでは、週末とあってケヤキ並木が続く道路の中ほどに設けられた散策スペース+細長い公園でフリーマーケットやミニコンサートなどやっていて、いい街だなあと感心した思い出があります。
繁華街の一角に緑化相談所のような公的施設もありました。
青葉城は山城で、歌に出てくる広瀬川が自然の堀になって、大手につながっていました。
魯迅の記念碑が本丸の登る途中の博物館近くにあったのが印象的でした。明治の終わりごろ、仙台の医学専門学校(現東北大医学部)に魯迅が留学していたことをそのとき初めて知りました。
広瀬川から繁華街側に少し歩いたところに、店の入り口にコーヒー豆を入れる麻袋が並んだ自家焙煎店があって、休憩と研究のために入りました。深煎りの私好みの味だった記憶があります。
「青葉城恋唄」を作って歌ったさとう宗幸さんは仙台市で暮らしておられるようで、驚いたのが仕事で訪れた会社のスタッフの皆さんもタクシーの運転手さんもさとうさんの自宅を「〇〇に住んでいますよ」とご存じだったことでした。
by gayacoffee | 2009-11-28 14:06 | 焙煎人日記 | Comments(0)

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