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「雨水(うすい)」ながら肌寒い一日。夜4種類焙煎

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昨日から今日と鹿児島も寒が戻っています。風が強く、当店の目印でもある黄色のノボリがバタバタと音を立ててはためいています。
快晴。店内には日がたっぷりと入り、しかも暖房を入れているのでほかほかです(右写真)。

開店準備の途中で近くの銀行に行ってきました。現金での支払いがあるからです。さすがに長袖シャツ姿で自転車をこいでいくには寒そう。1枚上着をはおり、ペダルを漕ぎます。JR坂之上駅前の畑の菜の花が咲き誇ってきました(左下写真)。同駅周辺の風物詩となっています。
銀行のATMの前に立って「おやっ?」。ATMの機械が新型に変わっていました。操作方法は基本的には前と同じでしょうが、最近、画面のボタンの位置などが変わっただけで「あれっ?」「あれっ?」と機械の操作に戸惑ってしまいます。20、30代のころはパッと目について判断し行動に移せたものが、いちいち確認したり、操作ボタンに目がいかなかったり。50歳というのはそういう年齢なのでしょうか。そして60、70歳となるとどうなるのでしょうか。
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機械の操作に迷っていると、機械が音を立ててせかしてきます。時々、ご高齢の方が、時間内に次の操作に移れず、ATMから「もう一度最初からやり直してください」などと言われ、並んでいる私に頭を下げ、「ごめんなさいね」と恐縮する姿に出くわします。
高齢者が増えていく時代。こうした機械も交通機関ももう少しゆったりとならないものか。客を恐縮させる機械を設置して、何がサービスなんだろう、と短気な私は疑問を持ってしまいます。

銀行を出て、ふと道端の民家を見ると梅が満開でした(右下写真)。わが家の梅は散ってしまいましたが、種類が異なるのか、見ごろを迎え、青空に映えています。開店前のバタバタの時間ながら写真を1枚。
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朝起きて布団の上に座った途端、天井や床がぐるぐると回っていました。枕元に置いていた水をぐいっと飲んでもまだ目が回っています。目を閉じ、また開いても回っています。深呼吸し、1、2分すると少し落ち着いてきました。
おそらく夜更かしが過ぎたせいでしょう。

昨夜は焙煎の予定もなく、閉店後に、自治体など公共団体が出品しているヤフーオークションを30分ほど眺めていると、「コン、コン」。店のドアを叩く音がします。
窓からのぞくと、元同僚Tくんが暗闇の外でニコッと笑って手を挙げます。
「久しぶりだね」
Tくん「近くまでくる用事があって、コーヒー1杯飲ませてもらおうと思って」
午後10時でしたが、ちょうど私も閉店後のコーヒーを飲んでいなかったので点てていると、「それからトーストか何かできませんか。夕食が早かったもんでおなかがちょっと空いて…」とTくん。
いけませんね。この時刻に食べるのは。と思いながらも、せっかくなので、すぐにできる「ガヤトースト」を出し、同じテーブルに座って近況など聞きました。
彼を代表的モデルとしている「T系」人間の思考・行動など語っているとあっという間に日付が変わり、昨日亡くなった俳優藤田まことさんの代表作「必殺シリーズ」の思い出、さらに仕事観など語り合い午前2時。

その中で、鹿児島県内の大手飲食チェーン店の社員が人手不足による過重労働が原因で、寝たきりの意識障害となったとして元社員と両親が、勤務していた企業に対し損害賠償などの支払いを求めた訴訟で、鹿児島地裁が企業に計約1億9400万円の支払いを命じた判決が話題となりました。
地裁の判決は企業責任を問うたとしても、Tくんとの会話のテーマは意識障害になるまで働いてしまう心理についてでした。
思えば、サラリーマンは思いノルマや高く設定された目標のためにひたすら働いています。サービス残業など当たり前。残業しない社員は正当な理由があったにせよ出世にひびくでしょう。国際競争力の名のもとで徹底したコスト削減が行われ、企業は1人当たりの生産性をぎりぎりまで高めようと、過重労働を強いる…これはなにも中小、零細企業ばかりではなく一部上場企業でも、「不況下」という“戒厳令”で行われているようです。過労死をめぐる多くの訴訟が物語ります。
サラリーマンは我慢を続けます。上司にパワハラを受けてもひたすら我慢。理屈ばかりこねまわし体を動かさない部下にも我慢。我慢、我慢を続けるうちに次第に顔から表情がなくなっていく、感情をなくし、与えられた目標数字を追いかけることがすべてとなります。目標達成へのプレッシャーと慢性的な人手不足による過重労働。食事も砂をかむようになるでしょう。道端の花に目をやる余裕もなく、妻や子供と大笑いするだんらんのひと時も持てず、感情を失っていく。
うつをはじめとする精神疾患が急増し、毎年自殺者が3万人を超える背景には、こうした感情を押し殺していかざるをえない現代の不自由さがあるのではないか。

Tくんと私の会話はさらに続きます。
仕事、いや所属する企業(法人)の利益を上げるために、社員が心身を削る時代とは一体何なんだろう、と。私たちは理想を言えば、世界中のあらゆる人々が健康で飢えることなく争いもない社会を目指そうとしているのではなかったのでしょうか。現実は奪う者、奪われる者が存在しているとしても、人類は長い歴史を経て「愛」と「平和」を理想として掲げるようになったのではないか、と。
大量生産の工業時代を迎えた20世紀初め、チャップリンは映画「モダンタイムス」で、休憩中も食事中も大型ナットを締める動作が止まなくなる“現代人”を描くことで、近代化による人間性喪失を予言していました。
警告しそれを喜劇の中で知ることのできた20世紀はまだ、その分人間性があったでしょう。
そして今、「不況下」の名で社会の基盤となる雇用環境が極度に悪化し、日本の南端の貧乏県・鹿児島ですら過重労働が当然となり、サラリーマンはただ黙々と我慢し感情を失くし人間性を喪失していくのです。21世紀のサラリーマンは感情なく大型ナットを回していることすら気付かずにいるのではないか、その結果が精神疾患であったり自殺であったり失踪であったり、電車内での痴漢など犯罪行為が現れるのではないでしょうか。

この不自由な時代にあって、野に咲く花を美しいと思え、どーんと横たわる桜島を前に腹の底から熱がわき上がるにはどうすればいいのでしょう。
私は、感情を取り戻すことではないか、と考えます。
理不尽な上司の命令・叱責に、ひと言。
「ウザ」
Tくん「『ウザ』『キモ』。いいですね~。そう言えたらストレスはなくなりますよ。でも言ったらクビでしょうね」
「そうだろうね。クビだろうね。家族のため、仕事を失わないためにみんな我慢するんだよね。定年まで勤め上げるサラリーマンは立派だよ。自分なんかわがままだから、我慢しようとしてもできなかった」
Tくん「私もおんなじです」
社会的常識の欠けた2人は、こうして丑三つ時まで語り合い、その後日課の運動をしレンタルのDVD「奴らを高く吊るせ」を観て夜明け前となっていました。

今夜3種類の焙煎を予定しています。
静かな午後が過ぎていきます。

追記】=午後6時41分
今日は「雨水(うすい)」。二十四節気のひとつで、雪や氷が溶けて雨が降るころとされ、春の訪れがそろそろ告げられる、とされますが、日本各地とも寒波に見舞われたようです。
妻の話では、今朝8時すぎに支店のある鹿児島国際大学に着いたとき、あられが降ってきたとのこと。終日冷たい風が吹き、夜を迎えています。
夕方になってコーヒー豆をお買い求めのお客様がぽつぽつご来店くださっています。
寒い中、ありがとうございます。

夜の焙煎は4種類を予定。
●ブラジルNo.2(深煎り)
●グアテマラSHB(深煎り)
●コロンビア・スプレモ(深煎り)
●エチオピア・モカ・シダモG2(深煎り)

追記】=午後10時27分
従業員の過重労働による労災、過労死についてふと思ったこと。
社長さん、特に大手企業の社長さんや会長さん、そしてワンマン社長さんが過労死したという話を聞きません。私の知識不足でしょうか…。明日時間があればインターネットで調べてみることにします。
ふと思いついたことです。
Commented by kまま at 2010-02-20 08:36 x
本当に寒い日でしたね。錫山は小雪が舞い、積雪が瓦と田畑にありましたよ。過労死・労災は今後もさらに増加していくのではないでしょうか?映画「釣りバカ日誌・男はつらいよ」・ドラマ「木下部長とボク」・・・浜ちゃんのように、寅さんのように自由に人生を送ってみたいという願望がロングセラーになったのかな(^^)スーさんみたいな社長も木下部長のような上司も今のサラリーマンの願望かもしれませんね!!
Commented by gayacoffee at 2010-02-20 16:56
kままさん、ありがとうございます。
おっしゃる通り、寅さん、浜ちゃんは不自由な時代の憧れなのでしょう。共通しているのは、寅さんには「とらや」の皆さん、浜ちゃんには「ミチコさん」という戻る場所、ほっとできる場所があること。現代人に果たして戻るべき場所はあるのか…?
by gayacoffee | 2010-02-19 15:54 | 焙煎人日記 | Comments(2)

鹿児島発! 生豆を水洗いする自家焙煎コーヒー店の日記


by gayacoffee