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トラブルはチャンス~取引を止めた相手に学ぶ

まるでビジネス誌のタイトルのようで恐縮です。ささやかな私の経験をつづります。
ゆるゆるとやっているように見える当店ですが、当たり前のことながら仕事には真剣に取り組んでいるつもりです。
お客様に対しては、「おもてなしは十分だっただろうか」「コーヒーはおいしく飲んでいただけたか」など、お帰りになった後までじくじくと考え込むことも。悩むより頭を使い体を動かせばいいのですが、いただいたお金以上に喜んで帰っていただくのが商売と思うと、ついじくじくと反省の多い日々です。
取り引きをお願いしている事業所、個人商店にもあれこれ注文をつけてしまいます。
できれば長いお付き合いをさせていただきたいと思いつつ、はっきりと取り引きを中止した企業がこれまで3社あります。これからつづる話はすでに取り引きをしていない企業を非難するのが目的ではありません。反面教師として学ぶことが大きいからです。
取り引きを止めるトラブルに向き合うことで、不思議にも以前よりも良い条件の取引先に巡り合うことができました。トラブルはチャンスでもあるのです。

取り引きを止めたうち2社はコーヒー生豆の仕入れ先でした。
1社は、妻の実家が営む飲食店がオープンした当時からのお付き合いだったのでかれこれ20数年の縁がありました。もう1社は2年ほどのお付き合いでした。

きっかけは、一昨年5月からのエチオピア産コーヒー(いわゆるモカ)の輸入停止でした。入管時の検疫で、モカの生豆から日本の残留農薬基準値を超える農薬が検出され、港でストップした事件です。モカの輸入停止はいまだに続いています。
私は、この情報を、生豆を仕入れている2社からではなく、私がインターネットをあれこれ見ているうち、たまたま知りました。
「モカが輸入できなくなった?!」
驚きました。自家焙煎コーヒー店にとっては大問題です。他の豆にないフルーティーな風味が特徴のモカは、ストレートで飲んでおいしいばかりでなく、当店のブレンドのうち4種類に使っていました。モカに代わるコーヒー豆はモカしかないのです。
品切れになっては困る、とすぐに2社に連絡し、モカの在庫を尋ね、注文しました。
担当者は営業かなにかで不在。電話先の窓口の社員が「分かりました」と答えました。
しばらくして、2社の営業担当からそれぞれ、「申し訳ありません。モカの在庫がありません」との電話がありました。
長い付き合いの1社は、営業担当者がエチオピア産コーヒーの入荷停止自体を把握していませんでした。論外です。
もう1社の営業担当者は情報を1週間前に知りながら、「ガヤさんにファクスを送るのを忘れていました」。その言葉で、この会社とは一緒に仕事ができない、と心に決めました。一事が万事です。

「困ったぞ」
そう思っていたとき、偶然にも慈眼寺にある喫茶「モーリー」のマスターが来店してくださり、「いいコーヒー生豆問屋さんがあるよ」と教えてくださったのです。
すぐに連絡し、取り急ぎで「エチオピア・シダモG2」を注文、問屋さんの責任者のFさんは突然の注文にも関わらず、快く引き受けてくださいました。その後も、訪問あるいはメールなどでコーヒー生豆の情報を随時知らせてくださいます。

もうひとつの事例は最近のことです。
厨房の排水パイプが逆流する、という“事件”が、鹿児島国際大学内の支店で発生しました。
パイプクリーナーを流して油汚れを取っているつもりでしたが、十分ではないのか、それとも別の理由か、妻を始めスタッフも困り果てていました。
定期的に清掃を依頼している事業所は「構造上の問題だからパイプの工事をし直さないと無理」と言います。大学の施設を借りているので勝手に工事もできません。妻は「何んとかしないと」と、水道工事業者に電話し、知恵を借りました。和田名にあるS社の代表者が、信頼のできる清掃会社がある、と紹介してくださり、相談。すると、高圧洗浄を行って、逆流する口を閉じるなど対策は取れるだろう、とのこと。さらにメンテナンス料金も従来より下げられると言うのです。

パイプの清掃はこれからですが、この“事件”も妻が必死になって解決しようと模索した結果です。

最後に、取引先への支払いの在り方も、最近学ぶことがありました。
関係者には人物が分かってしまうでしょうから詳細は書けませんが、趣味仲間の1人が収集している物を購入した際、分割で最後に支払うとき5万円を値切った、というのです。
どうやら値切った人物は商品を買う時点で値段に不満があったとのこと。
当然のように、その人物は同好の趣味人の間で信頼を落とすこととなりました。
「男じゃない」と。
学ぶことは、買う時点で納得がいくまで話し合うこと、そして話が付いたらきれいに支払うこと。
これは商売も一緒ですね。

トラブルから多くを学びます。
Commented by 匿名 at 2010-03-19 12:06 x
こういうお話は、よく、わかります。事業の継続を考えると、信用できるという要素が重要ですね。仕入れについては、もちろん、値段も大事なんですが、少々の価格差、問題にならない程度なら、情報やアドバイスを的確にくれる業者さんを選ばれるのは、当然だと想います。他県から鹿児島に移り住んで来たのですが、総じて、鹿児島の営業のご担当の方は、そういうことに鈍感だと思えてなりませんでした。対面では、挨拶は過剰なぐらいにしますし、やたらに媚び諂ったり、お世辞を言いますが、それも大事かもしれませんが、仕事の上で、本当に相手が何を求めて、何が相手にプラスになるのか、といったことを考えている方(営業)は、少ないと思います。あと、鹿児島で大手と呼ばれるところの社員(営業)の方に至っては、挨拶、態度とも良くない方も多々見受けられます。
 あえて、鹿児島の方に苦言を呈しました。
Commented by gayacoffee at 2010-03-19 14:58
匿名さん、ありがとうございます。
おっしゃる通りです。
企業は利益を生むのを目標としているので、価格の件は当然として、「価格だけ」というところもあります。発注する側にも問題があります。
当店もこれまで飲食店・ホテルさんからコーヒー豆の卸を打診されたました。「おいしいと聞いたから」とのことで、見積書を持っていくと、もう少し下げてくれ、です。当店はどこに対しても同率の卸値とし、その代わり新鮮な豆を少量ずつでも配達します、と提案しましたが、結局価格の話ばかり。お話になりません。それ以降、当店は直販で、お客様1人ひとりがいかに満足してくださるかだけを考えることにしました。「Gaya通信」の発行もコーヒー世界のすばらしさをお伝えしたいからです。
自分なりに頑張っているつもりですが、取引のある生豆問屋さん、資材をお願いしている会社の営業担当者から全国ですばらしいサービスをやっておられる自家焙煎店がたくさんあることを聞かされ、勉強になります。仕入価格が高い安いだけでなく、刺激を与えてくれる取引先とお付き合いしたいと思います。いずれも県外の会社です。残念!
by gayacoffee | 2010-03-18 20:45 | ガヤマスのつぶやき | Comments(2)

鹿児島発! 生豆を水洗いする自家焙煎コーヒー店の日記


by gayacoffee