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さびしい鹿児島~今週のニュースから

今週の地元紙「南日本新聞」の1面トップにはまことにさびしくなる記事がありました。

①鹿児島県の人口170万割れへ
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まず同紙9月6日付けは、10月1日に行われる国勢調査を前に、「鹿県人口170万人割れか」の見出し。ついに160万人台となるのですね、わが県は。
人口が多ければえらいわけでもないでしょうが、人がいるということはそれだけその地で食べていけることの証しでしょう。少子化の影響もあるでしょうが、それも子供を養っていけない=食べていけないことに通じます。鹿児島県はこのまま中央の言いなりになって施策を進めても、どんどん地元で食べていけない人が増えるだけ。「団塊世代」の方々がご活躍の現在ですらこうですから、10年、20年後には激減が予想されます。
人口が少なくなると、消費する人も生産する人も少なくなるわけで、これまで成り立った商売も成り立たなくなるでしょう。
税制、社会保障、教育などの仕組みを思い切って変えないと、鹿児島県ほか地方は疲弊します。
その意味で、既得権益と天下り先の確保にやっきとなる中央省庁・官僚や利権まみれの政治家がすくくう“永田町”の理論を覆す、「ベーシック・インカム」は地方にとって大いに検討されるべき制度です。ただ明治以降の中央集権への反乱と、中央官僚には映るでしょう。
地方首長、地方議員、地方行政マン、がんばってほしいですね。

「南日本新聞」の記事で物足りなかったのは、人口減の及ぼす影響を衆院選の選挙区割や地方交付税の算定などとしか関連づけていない点です。「その土地で食えなくなっている」という視点が、高給取りで知られる同紙記者には実感がなく、欠けるのかどうか。掘り下げのない記事に終わったのが残念です。

②鹿児島大学、新司法試験合格者ゼロ
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9月10日付けのトップ記事は「新司法試験 鹿大合格ゼロ」。全国の合格率も過去最低の25.4%だったとあり、社会面では「鹿大『想定外で深刻』」「撤退せず指導見直し」の関連記事を掲載しています。
「鹿大」とあるのは、鹿児島大学法科大学院のことです。
鹿児島で「鹿大」といえば、旧制七高を母体とした、“鹿児島エリート”の輩出校。昔から、鹿大に合格すると「ほ~、良かったね。頭がいいね」と親戚一同、ご近所の方々からももちろん高校の教師からも褒められるものです。大体において鹿児島の教育現場は「国公立至上主義」、その象徴が「鹿大」です。いまも変わらないようです。なにせ、教師の多くが鹿大出身ですから。
私は高校1年の末で「私大志望」を決めました。そのとき、どの教師だったか忘れましたが、「なぜ鹿大を受けないんだ。あきらめたのか。琉球大でもいいから国立を狙え」とはっきり言われました。
「琉球大でもいいから」なんて失礼ですよね。
私がやっぱり東京に出ようと決めたきっかけはこのひと言でした。ムッツリと尖がっていた私は「この教師はバカか」と思いました。

経済的な理由から県外の大学へ進学したくでもできない学生もいますし、地元で働きたいという希望を持つ学生も少なくありません。鹿大も当店の支店がある鹿児島国際大学なども地元で重要な役割を果たしています。私は某教師のひと言で東京の大学に行くことにしましたが、高等教育機関は地元の大切な財産です。

昨今の、似非アメリカ型経済効率至上主義を掲げ、大学になにかというと目に見える成果・結果を出せ、と文部科学省が口を出し、授業の「休講」を厳しく管理したりしているようで、今回の司法試験合格実績が低迷する大学院への財政支援を見直す、とも。おどしですね。大学は専門学校じゃないでしょうに。“考えぬ”人を作り続けてきた日本の国家教育とはいえ、戦前の大学介入をも彷彿させる文科省の右傾・管理強化は極めてゆゆしき問題です。
ノーベル化学賞を受賞した日本人の科学者のどなただったかが、「すぐに結果や実績の出ない基礎研究こそが遠い将来を切り開く」というような内容の発言をしておられました。

話がそれました。
法科大学院も司法試験の改革の一環かなにかで全国の法学部を持つ大学に設けられました。
法科大学院生で3年以内に合格しないと司法試験を受ける資格がなくなるとか、なんとかのようですが、私には関係ないのでよく知りません。
ともかく鹿大にも法科大学院ができた、しかし合格者数が伸び悩み、ついに今年はゼロだった、というわけです。
合格者数が多いのは東大201人、京大135人、阪大70人などの旧帝大と、中大189人、慶大179人、早大130人などと首都圏の有名私立大が上位を圧倒的に占めています。わが母校は19人でした。

このように数値で出されると、鹿大に法科大学院は必要ないのでは、などという考えをする人がいるかもしれません。中央集権的思考です。
そりゃあ、旧帝大、有名私大はそもそもが偏差値がやたら高い子が行く大学です。出発点が違いますよ。そして地方大学には、長年司法試験を合格させてきた歴史が乏しいでしょうし、合格させるためのカリキュラムや受験テクニックを指導できる教授陣は、ギャラの高い、しかも名前に拍がつく有名大へ自然と流れるでしょう。
そういったことが背景にあった上で、同日付けで「読売新聞」に掲載されていた「新司法試験の法科大学院別合格者数」一覧を改めて見ると、隣県・熊本大学の7人、琉球大学5人の合格はなかなか注目に値します。やはり鹿大の教育態勢にも問題があるのでしょうか…?

それにしても、大学とは一体なんのために存在するのか、考えさせられるニュースです。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-12 17:27 x
2015年版「さびしい鹿児島」に加わることになりますが、司法試験漏洩問題の女性(受験生)の出身高校・出身大学・氏名・顔写真が「漏洩」しました。

鹿児島県立S高校、鹿児島市内のS大学、明治大学大学院……これでまた、鹿児島ネタが増えてしまいました。挽回のしようがない。
Commented by gayacoffee at 2015-10-12 17:32
Ex-Tannyamanさん、ありがとうございます。
えっ? 例の学生さんは鹿児島出身だったのですか。氏名、顔写真はいくらなんでも行き過ぎ。成人、しかも法曹界を目指そうという人間とはいえ、ふせるべきですね。あの明大・名物教授は罪が重いので仕方がありませんけど。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-12 18:24 x
綸言ではないが、出てしまったものは汗の如しで、引っ込められません。大変なのは、明大・大学院卒で若手かつ美形の女性弁護士たちです。法律事務所に籍を置く現役弁護士は、スタッフ案内欄において顔写真付きで出身大学院まで紹介され、それをウリにしますから、彼女らはパニックになっていると思いますよ。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-12 20:04 x
ネット上の説明では、江戸時代の刑として、「市中引き回し」は死罪以上の判決を受けた罪人が受ける付加刑であり、単独の刑罰ではない、となっています。現在のネット漏洩がそれに相当するのではないかと思います。当時の対象の一部は、次の通り。

妻の不義密通。
秤の不正。
枡の不正。
公私文書偽造。
既婚女性との不義密通。

一罰百戒的な感じではありますが、現在でも、あって当然な感じがしないでもないです。
Commented by gayacoffee at 2015-10-12 20:52
Ex-Tannyamanさん、ありがとうございます。
それにしても、司法試験の問題を作成する人物が大学の先生を続けている制度が問題でした。今後はその点も改められるのでしょうが。
おっしゃるように、ネットで晒されるのは公開処刑のようなもので、しかも私刑です。リンチ。「市中引き回し」は封建時代ながらも公の刑罰です。西部劇でよく、牛泥棒をリンチにかけようとして、保安官が制止し「裁判にかける」と言う場面があります。ネットの晒しはリンチですね。しかも匿名という点で卑怯です。
ちなみに、ウィキペディアによると、「市中引き回し」となる罪のひとつに「身体障害者への強盗殺人」というのがありますね。
また、死刑(死罪)でも、牢屋敷での打ち首、刑場での獄門、磔など罪状でランクが異なる点も注目されます。死罪で最も重いのが「鋸挽き」でしょうか。日本だけでなく西洋でもあったそうで、見せしめ度が高いですね。同じくウィキペディでは、「実際に鋸で首を挽くことはなく、晒した後は市中引き回しをしたうえで磔とした」とありますから、やはり見せしめの意味が高いのでしょう。
なお、打ち首になった死体は刀の試し斬りに使われたようで、刀の茎(なかご=刀身のうち柄に入る銘を刻む場所)に「二ツ胴」などと金象嵌の裁断銘が入っている刀などがあります。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-13 07:10 x
>「身体障害者への強盗殺人」というのがありますね。

盲目である検校・座頭が金貸しをしていて、制度的に護られていたということでしょうね。

Commented by gayacoffee at 2015-10-13 11:21
Ex-Tannyamanさん、ありがとうございます。
そういうわけですね。理解できました。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-14 21:49 x
> 保安官が制止し「裁判にかける」と言う場面があります

実際に見たわけではありませんが、昔は判事が巡回していたから巡回裁判所"circuit court"と呼んでいたようですね。ところが、現在は巡回裁判所が定置型になっているようであり、日本で言えば第一審、つまり地方裁判所に相当するのではないかと思われます。

勿論、"distric court"というのもありますから、"circuit court"よりも下級審なのかもしれません。州によっては、"supreme court"が高等裁判所であったり、最高裁判所であったりで、良く判りません。
Commented by gayacoffee at 2015-10-15 19:13
Ex-Tannyamanさん、ありがとうございます。
西部劇でも、次に「判事が来るのはいついつだ」とか言う場面がありますね。巡回裁判所のことでしょう。保安官も小さな町にはいなかったようで、無法者が住民を脅す場面がよく出てきます。そこへ現れるのが…という設定が多いですね。
いまでもシェリフはいるらしいです。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-15 20:39 x
シェリフと警察官の違いと権限範囲は判りませんが、州をまたがって行動できないのが米国の法律らしいですね。だから、逆に、interstateの(州をまたがった)犯罪(例えば麻薬の持ち込みや持ち出し)は重罪になるらしいと聞いています。商行為でさえも、ややこしい取り決めがあるようです。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-16 09:38 x
"distric"は、"district"の間違いでした。すみません。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-17 08:44 x
> 大体において鹿児島の教育現場は「国公立至上主義」

私が高校を卒業したときも国公立至上主義であり、全国で4位だったようです。理系の1クラスで九州大学に35名が合格したクラス担当の教師は出世して教育長になったと聞いています。でも、私など冷めた目で見ており、全国1~2位を競っている貧乏県だったから、私立大学なんて夢のまた夢でした。

それと、真意の程は判りませんが、伝統的に男子生徒だけ修学旅行なし、でした。どうせ、お前らは大学へ進んだりすれば、全国どこにでも行けるから、と言われておりました。ま、私など貧乏すぎて授業料滞納(3ヶ月が限度)の常習者でしたから、修学旅行がなくて助かりました。
Commented by gayacoffee at 2015-10-18 21:04
Ex-Tannyamanさん、ありがとうございます。
保安官と警察官の違いはネットのQ&Aにもあって、いま読んだところ、アメリカ建国の歴史を物語るようです。「町や市の住民が自分たちで地域の治安を守るために雇った」保安官もいるなど、西部開拓の歴史のようです。州ごとに制度が異なるのもアメリカならではでしょうね。乱射事件がよく起こるにも関わらず銃規制が進まないのは、自衛のための権利として武器所持が正当とされて、個人の権利意識のわが国との差を感じます。その意味で日本人の個人主義など屁のようなものでしょう。しかも、個人主義と利己主義を混同する人が、政治家や教育関係者にもいるのが悲しいところです。個人の育たぬさびしさは鹿児島だけではないようです。政府・官庁を批判するくせに補助金・助成金を欲しがる浅ましさはいけませんね。

いまだに鹿児島の教育現場は国公立至上主義のようです。中学生をお持ちのお客様によると、私大に推薦合格した生徒にも、大学入試センター試験を受けさせるそうです。「推薦は年内に合格が決まるため、生徒の気が緩まないようセンター試験まで勉強させるのだと教師は言うらしいのですが、その裏にはセンター試験の受験者数を増やしたりする教師側の目的もあるやに聞きます。
某県内大手企業に勤務のお客様は、地方国公立大出より関東・関西の私大卒の学生を採用した方がいいとおっしゃいます。「サバケチョデ」とのこと。「キガキッド」。
ちなみに、私の高校時代は男女とも修学旅行はなし。普通科に修学旅行は要らないとのことでした。理由はEx-Tannyamanさんのご指摘と同じです。T高校の方針が私のようなボンクラにも影響が広がったというわけです。とにかく、権威に弱い鹿児島です。このあたりが実にさびしいですね。
Commented by Ex-Tannyaman at 2015-10-18 21:20 x
> T高校の方針が

もう一つというよりもメインの理由は、男子生徒が他県の生徒と大げんかになったから、というものでした。
by gayacoffee | 2010-09-11 14:39 | ガヤマスのつぶやき | Comments(14)

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