コーヒー生豆を水で洗った汚水度は?
2012年 06月 20日
当店は、コーヒー豆を焙煎する前に、生豆を一旦水で洗ってから焙煎機に投入しています。生豆は、アフリカや南米、中南米、東南アジア各国から袋詰めされて日本に輸入されます。99%が輸入品です。
天日干しで乾燥させる国もあったり、コーヒーの実の果実部分を取り去る際に水でふやかして行う国もあるなどコーヒーの生豆の生産方法も国によって様々です。
おおむね言えることは、生豆の表面はほこりなどで結構汚れているこということ。当店は、その生豆表面の汚れを水で洗うことできれいにして、豆本来の味を引き出す焙煎方法を採用しています。
今回は、「コロンビア・スプレモ」を例に、生豆を水で洗うとどのくらい汚れが落ちるか、その汚水はどのくらいのものなのか、を写真でご紹介します。
右上写真は、袋から取り出した生豆です。まだ欠点豆などを取り除くハンドピック作業を行う前の状態です。
左写真は、虫食いや未成熟、死豆、ときには小石といった異物をひとつひとつ拾うハンドピック作業で取り除いたものです。これをそのまま焙煎しコーヒーを点てると、雑味どころか、異臭など味・香りに悪影響を及ぼします。自家焙煎コーヒー店は、この作業を必ず行わなければ、お客様においしいコーヒーを提供できません。
続いて、当店が行っている生豆の水洗い作業です。右写真は、1回目の洗いです。たらいに生豆を入れ、水道水で洗います。手でかき混ぜるようにすると生豆の表面に付着したほこり、汚れが浮き出てきます。泥水のようになります。面白いことに、汚水の色、度合いは生産国ごとに異なります。その土地の土の色なのか、と思うことがあります。例えば、「ブラジル」は、テレビで見るアマゾン川のような赤茶けた汚水になりますし、「エチオピア」(いわゆるモカ)は白っぽい汚水が出ます。インドネシア産の豆の汚水は黒っぽいのが特徴です。
コーヒーの生豆を水洗いする自家焙煎店は当店だけではありません。
まだ少数派のようですが、全国にありますし、生豆を販売している問屋さんもホームページで水洗いを勧めているところがあります。
ただ、どこまで洗うかは、それぞれ考えの違いがあります。考え方の違いなので、どれが正しいとか、間違っているとか、はないでしょう。水に長時間生豆を浸しておかず、洗ったら速やかに水気を切ったり、あるいはすぐに焙煎機に投入したりしている点は共通しているようです。
当店は、すすぎの水が透き通るまで洗っています(右上写真)。
すすぎの回数も生産国によってさまざまで、1、2回ですっかりきれいになる豆種もあれば、5回、6回と洗わないといけない豆種もあります。また、汚れがどっと落ちた後に、生豆の表面を覆っている薄皮が落ち始める豆種もあります。
すすぐ水が透明になったらザルに生豆を移して水を切ります。すぐに焙煎作業に入る場合でも、水切りは必要です。熱をもった焙煎機の釜に水浸しのまま生豆を投入すると釜が痛む危険性があるからです。
右写真は、水洗いしてザルに移した状態の生豆です。表面に付着していたほこりなどがとれて生豆のやや緑色が現れました。コーヒーの生豆は新しいものほど緑がかった色をしています。
十分に水を切ってから焙煎機の釜に入れ、焼いていきます。
汚水度は一体どのくらいなのか、身近なものと比較してみました。
左写真は、某日の開店前に店内を拭いた雑巾を洗った汚水です。イス・テーブル、棚、ガラス窓、窓枠、ドア、焙煎機のカバーなどを拭くと、桜島の灰や身の周りのほこり・ゴミなどで毎朝このくらいの汚れが出ます。ただし、雑巾を別にしているトイレ、奥のスペースの床を除いています。
この汚水と、前述の生豆の汚水を比べると一目瞭然です。