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上海派遣中の県職員の戸惑い、心労がみえてくる取材レポート

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30%台に落ち込んでいる中国東方航空・鹿児島―上海線の搭乗率をとにかく上げるために始まった鹿児島県・伊藤知事による県職員ら上海派遣の2日目の様子を、地元紙・南日本新聞の種子島時大記者が現地からレポートしています。見出しは「市場見学10分で退場」「当初予定は1時間」。う~ん、ぱっと目にしてなんともつらい見出し、記事ですね。近ごろの表現で言うと、「イタイ」。

第1陣の県職員は22人で、土木行政12人と農政10人が2コースに分かれ、それぞれ上海の予定個所を視察したとのこと。南日本新聞の記事によると、このうち農政コースが立ち寄った「江橋批発(卸売り)市場」では、県職員10人や取材陣が入って間もなく、後ろから来た警備員が「団体客は入場できない」(職員に同行した現地ガイドの通訳による)などと告げ、出口まで誘導、ほとんど視察ができなかったそうです。1時間の視察を予定していました。現地ガイドは「入場許可は得ていたが、現場まで話が下りていなかったようだ」と話したと記事が伝えます。同市場は上海市の野菜の60%以上を扱っているそうです。共同通信によると、農政コース一行は輸入食品を販売する高級スーパーも訪れ、焼酎や黒酢などの鹿児島県産品が国内の2~3倍の値段で売られているのを確認したそうです。

ま、海外の行き先に話が伝わっていないなどのトラブルは、観光旅行ですらあります。まして「研修」目的とあっては、かの日本人が集団でやってきてビジネスとして視察する場合、しかも取材陣が張り付いているとなると、現地当局が警戒するのは当然でしょう。情報統制、民衆管理、言論の自由のない非民主国家・中国にあって、国内外のすべてが当局・公安の監視下に置かれましょう。たとえ、派遣一行が「航空路線の維持のために我々はやってきたんだぞ」などと思うことがあったとしても、それはこちらの勝手な思いです。自由のない国では、観光客らがうろうろ歩けるコースは毒にも薬にもならない(ってことはないでしょうけど)エリアでしょう。だから観光客はカメラでカシャ・カシャと記念写真を撮れる。でも、一歩外に出ると…、という国は中国に限りません。ひとつ間違うとスパイ罪で拘束され、政治問題の“取り引き”に利用される可能性すらあります。極めて言動に厳しい制限がある中国に、不慣れな者が行って3泊4日で「研修」するなど、相当に困難、いや冒険、冗談じゃなく危険性も考慮すべきでしょう。ことわりもなしに写真でも撮ろうものならカメラ没収の上、一時拘束の可能性大。「研修」ゆえに、仕事に生かすような内容をともなると、なかなかに大変です。
海外体験の乏しい私が偉そうに書きますが、そもそも国境が存在するということはそういうことです。

かといって、公費を使った「研修」名目です。今回は第1陣ゆえ県民の注目も浴び、ちょろちょろと南日本新聞の記者まで付いてきているだけに、上海を訪問中の県職員も、伊藤知事が言う「街中で2時間ほど立っているだけで意味がある」とまで開き直るわけにいきません。
派遣中の県職員の戸惑い、心労が伝わってくるかのような記事でもありました。

目に見えるかたちで言動が厳しく制限されることのない日本人は驚くことでしょうが、それぞれお国柄とか国民性、その国独特の常識や価値観があり、友好的な気分で現地に入ったとしても現地が歓迎するとは限りません。こちらの勝手な期待であり、思い込みともなります。
「上海便の搭乗率アップのため、公費を使ってまで鹿児島から客を送りこんだのだから、東方航空側もこの気持ちを汲んでくれるだろう」などと期待するのもこちらの勝手です。ビジネスですから、鹿児島―上海間の搭乗率が低迷、伸び悩むとなれば、経営判断でバサッといくでしょう。
Commented by 甘露 at 2013-07-12 15:46 x
こんにちは。いよいよ『研修』が始まりましたね。
先ほど、県外の友人からYahoo!ニュースで鹿児島の伊藤知事についての記事がトップに上がっていると連絡があり、のぞいてみました。
今回の研修のことや時代の流れを無視した公費の流用に厳しい記事でした。南日本新聞さんもこのくらいばっさりいけないものでしょうか(笑)
その記事に対するコメントも辛辣です。鹿児島県人であることを恥ずかしく感じることでした…。
Commented by 齊藤 at 2013-07-12 17:00 x
あれだけ反対意見があったもの、人数を減らしたといって、すんなり案が通った議会も議会ですが、やっぱり伊藤知事天下といったところなんでしょうね。。。
そして、行った先ではこんな扱い(苦笑)というよりも、そのくらいのことは予測して、予定通りいかなくても無駄な時間を使わないようスケジュールを組むのも仕事だと思いますが。
正直、「仕事」「派遣」と名づけた慰安旅行のような気もしなくもない^^;
この派遣で、どれだけの効果があるのか、見ものですね。
Commented by gayacoffee at 2013-07-12 19:37
甘露さん、ありがとございます。
お昼に「MSN」から産経新聞のニュースランキングを見ると、みごと第1位に輝いていました。鹿児島県外の人にも注目を浴びるニュースなのでしょうか? 税金の使い道とか地方自治体それも過疎県の悲哀という意味では普遍性はあると思いますが、あくまで鹿児島ローカルでとどまるのか、興味があります。
大人のバカさ加減はいまに始まったことではありませんし、鹿児島だけの話ではありません。他県では首長自ら汚職事件にからむところがありますし、もっとおバカな事件もあったような…思い出せないけど。
いまのところ伊藤知事は贈賄事件でどうのこうのという記事を見ません。薩摩川内だったか、産廃処分場を進めていましたが、周辺住民らの反対運動が起こっていましたね。
税金の使い道について住民の目が厳しくなっているのに気付かない、時代遅れの選挙で選ばれた行政マンのひとりが伊藤知事というわけです。行政の長だから行政マンでしょう。搭乗率の数字合わせにこだわるあたりが、官僚っぽいです。失礼ながら政治家ではなさそう。
Commented by gayacoffee at 2013-07-12 20:02
齊藤さん、ありがとうございます。
県職員らが乗った便は搭乗率79・8%。伊藤知事の目的は数字アップですから、その意味ではすでに目標達成ですね。同日の上海発・鹿児島行き便搭乗率が37・8%だったとしても、「皆さんの協力で派遣が実現した」と自画自賛でしょうか。道は険しい。必要があるのに外交問題などでやむなく利用客が減っているのなら県費投入による一時しのぎに正当性が出ます。でも、本当のところはどうでしょう。必要なのか? 必要になる見込みがあるのか? ここがポイントです。マスコミはこの一点、要所を突く記事を書きません。
採算ラインは国際線で搭乗率60%。厳しい数字です。瞬間最大で78・9が出ても、平均を60まで上げないと不採算。「便数×座席数×0・6」という式に運賃を掛けると年間の採算売り上げ額が出るでしょうけど、そのうち半分の客は集まっている(搭乗率30%台)として、残り半分は助成が必要となると、県費でずっと補うんでしょうか?
どこまで伊藤知事は上海線維持に責任を持つおつもりか、これも重要な質問項目となりますね。
Commented by Ex-Tannyaman at 2013-07-12 21:08 x
> 。現地ガイドは「入場許可は得ていたが、現場まで話が下りていなかったようだ」と話したと記事が伝えます。

下りていないのは下級職員への賄賂ですッ! 何も判っていないピンホア(平和)な日本、唯我独痴+呆の鹿児島政官財。
Commented by gayacoffee at 2013-07-12 21:36
Ex-Tannyamanさん、ありがとうございます。
中国では、学校に入るのも、役所の便宜を円滑にするのもお金の力です。賄賂という罪の意識はなく、慣習でしょうね。アジアでももっぱらそれが慣習で、日本でも江戸期あたりはお礼、気持ちとして大名間でも行われていました。「赤穂の田舎大名」がそれをケチって、高家筆頭・吉良上野介にご指導を賜れなくなった、というのがかの物語の始まりとか。
ま、いまどきいちいち袖の下というのも頭の痛いお国柄です。
by gayacoffee | 2013-07-12 14:10 | ガヤマスのつぶやき | Comments(6)

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