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今夜9時半に、安全点検中の川内原発が再稼動します

地元民放・南日本放送(MBC)のホームページによると、定期検査に伴い運転を停止している川内原発1号機は今夜9時半に、再稼働する予定です。あと30分後です。九州電力は再稼働後も定期検査を続け、来月6日にも通常運転に復帰する予定、とのことです。

川内原発1号機は、福島第1原発事故を受けた新たにつくられた原発の規制基準のもとで、全国で初めての定期検査が行われています。原子炉は検査開始の10月6日から停止していました。
「脱原発」を掲げ立候補し、現職を破って初当選した三反園県知事は「止める権限がない」とし、再稼働を事実上、容認するかたち。ただ、知事は川内原発の安全性などを検証する検討委員会の設置に向けた予算案を含む補正予算案を開会中の県議会にはかって、審議中です。議会の日程から、知事が目指す同委員会の設置は再稼動に間に合いません。知事は、同委員会で川内原発の安全性に疑問が指摘された場合、九州電力に対し強い姿勢で臨む、と議会答弁しています。

原発に対する態度はいろいろでしょう。
即時停止を訴える人もおり、温暖化対策と石油に頼らないために原発を必要とする人もおり、将来のエネルギー政策を国がまず方向付けた上で目標年度を設定し「脱原発」を段階的に進めるべきという人などなど。
私は段階的に「脱原発」を進めてほしいと思っています。同時に、代替エネルギーの開発を国・地方・企業・学校、そして消費者が協力して進めるための財源も含めた環境を整える必要を感じます。莫大な投資は、この少子高齢化対策の中、巨額な税金で賄われることになるでしょう。10年、20年の話ではなく、50年、もしかするとではなく、100年かかる話でしょう。なにせ、放射性廃棄物の最終処分場のめどすらたっていないのが原子力政策です。

残念ながら、原発は運転を止めただけでは「安全」というわけではないようです。原子炉内にウランがある状態であれば、リスクは変わらないでしょう。素人考えゆえ、間違っていたらご指摘、ご助言ください。
稼働中よりも停止している状態の方が危険の度合いが低くはなるようにも思います。点検中には核燃料は燃料プールに入れてあるそうです。使用済み、あるいは使用予定の核燃料は制御棒などでコントロールされた状態で燃料プールに入れてあり、それゆえ、臨界時と停止時のリスクに差異があると思われます。

最悪なのは稼働中(臨界時)に原子炉内でメルトダウンするような事故です。福島第1原発は、事故5年半後も依然放射能が強すぎて原子炉内の核燃料の状態をまだ確認できないそうです。
燃料棒を冷やすための電源が津波で失われ、メルトダウンが発生したとされます。NHKの特集番組が伝えるところでは、原子炉内の圧力が限界を超えていたにも関わらず原子炉が爆発する、最悪の事故にならなかった理由はまだはっきりしていないながら、容器のどこかに微細な漏れがあって、それが容器の爆発まで至らなかったのではないか、とのことでした。驚いたのは、もし原子炉容器が破壊していたら、東日本全体に人が住めなくなったかもしれない、その1歩手前で爆発が起こらなかったという、壮絶な事故だったことです。
それでも、ベントなどで高い放射能を帯びた蒸気を排出させる事態となり、その結果、放射能汚染が発生、多くの周辺住民が避難しいまでも故郷に戻れない人々がおられます。福島第1原発の原子炉破壊を防ぐ手段ではあっても、放射能汚染は防げなかったそうです。それを思うと、当時、事故現場で苦闘した福島第1原発の関係者の苦悩は大きかったでしょう。

運転停止中で燃料棒が原子炉内にない状態となれば、メルトダウンは起こることはないでしょう。運転即時停止を訴える人たちの根拠はここにあるかと想像します。
しかし、核燃料は稼動、停止に関わらず「存在する」ことに変わりはありません。核融合によるその莫大なエネルギーを電気に転換するのは少なくとも技術で“制御”できる原子炉内で行うから可能であり、もしも、電源を失ったり、大きな災害で冷温設備が破壊されれば、燃料プールも高温となり蒸発し、あるいは燃料が露出しメルトダウンに至る、稼働中の燃料棒の条件と同じことになるでしょう。

このリスクをどう判定するか、が原子力規制委員会です。同委員会が世界でいちばん厳しいと自負までする基準を、川内原発はクリアした、とされます。でもね、日本は地震の巣です。火山も多い。硬そうな地盤・岩盤が実は動いている、プレートのぶつかる場所に、私たちの国はあるんですよね。

さらに、問題なのは、例え、原発に頼らないエネルギーに移行しても、廃炉処理と放射性廃棄物の処理をどうするかという大きな課題を解決しなければいけないことです。処分場をどこにするか、これは総論賛成、各論反対となることが容易に想像できます。それを乗り越える覚悟が、原発反対を叫ぶ人も、脱原発を取る私も自分の問題として引き受けねばなりません。

私は、今夜の川内原発の再稼動は、同施設の安全性そのものがひとつ課題として、ほかに、この原発の再稼動が、今後の私たちの国のエネルギー政策の論議をうやむやにする露払いになるのでは、と疑ってしまいます。
最近、50年に1回とか100年に1回とか、または1000年に1回なんて災害を耳にします。地球の時間から考えれば、100年など瞬きのうちにもならないでしょう。重大な災害はいつ来るか分からないのだから、重大なリスクとコストがあるやもしれないが、それは確率論だとして原子力政策を進めるのか、どうか。でも、現実にそれが福島で起こったのです。
「とりあえず再稼動、その様子をみて、次の世代がいろいろ考えてよ」なんてことを、いまの60代、70代の政財界+官界の方々が思っていて、川内原発再稼動が、放射性廃棄物の最終処分場やら福島の再興、そして今後のエネルギー政策といった課題を横に置いてしまうきっかけになってしまうのがいちばん困るのです。疑えばいくらでも疑ってしまいますけどね。
でも、国は、あのバブル経済、リゾート法にしろ、年金問題にしろ、決着をつけません。原発もそのひとつではないか、とかなり疑うのです。
by gayacoffee | 2016-12-08 21:03 | ガヤマスのつぶやき | Comments(0)

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