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気になる記事~南日本「大隅は人口1600万人」

「南日本新聞」の1面で連載中のシリーズ「畜産王国はいま」。今日付けはその6回目で、「家畜排せつ物 首都並みの環境負荷」です。
記事によると、畜産施設などから発生する家畜排せつ物は鹿児島県内で1年間に約600万トン(平成19年)。国内総量のおよそ1割弱。処理を怠れば悪臭ばかりか、窒素過剰による健康被害、地下水汚染などの環境破壊を引き起こします。

同記事で興味深かったのが、「大隅半島の人口は1600万人」との指摘。
「資源循環型養豚」を掲げて黒豚を放牧する農業生産法人「えこふぁーむ」(肝付町)の中村義幸社長が算定したユニークな統計上の「人口」。水質汚染の指標となる生物化学的酸素要求量(BOD)は牛1頭の排せつ物が人間60人分、豚が15人分とされます。これを「畜産王国」の大隅半島に当てはめるとなんと「人口1600万人」分、まさに首都圏の人口分の排せつ物が出ているというわけです。

この家畜排せつ物を資源として活用できないか…。
県内でも、模索・試行が始まっています。
さつま町では平成18年に県内約90農場から年間5万トン近い鶏ふんを搬入し、燃料源とする民間の発電施設が稼働しました。
「畜産王国」鹿児島では、環境に首都圏並みの負荷がかかっています。
逆にいえば、畜産業と環境・健康を共生させられる先端産業が芽生えるチャンスとも言えるでしょう。
ここに鹿児島再生の宝が眠っているようにも感じました。

鹿児島県の基幹産業はやはり第一次産業です。
いくら東京の大企業に頭を下げ、土地を整地して提供し税金を安くして誘致しても、アメリカ金融界の風邪ならぬくしゃみで次々と工場は閉鎖、撤退していきます。今回の不況のみならず、何度も経験してきたことです。
誘致企業にとって代わりの場所はいくらでもあり鹿児島である必要はないのです。企業側からみるととにかく今はコストを抑え耐える時期です。仕方のない構造なのです。
また、鹿児島のサービス業の多くをみても、「販売会社」です。東京にある本社はメーカーであり「頭脳」、そして地方の子会社、あるいは出先は商品を売りまくる「足」。
思えば、鹿児島をはじめ全国の地方は、人材輩出をしたうえに、物を買うことで東京にあるメーカー本社へお金を送り続けているのです。地元商店街が繁盛していたころは、物を買ったお金が地元で何回か循環した後で東京へ集められていました。しかし、東京などに本社のある全国チェーン系のスーパー、コンビニで買い物をすると直接、地方のお金が東京へ送金されるのです。
貧しき地方はますます貧しくなる…。資本主義の原理ですね。

で、鹿児島はどうするか。鹿児島でしかできないもの、それは地理的・気候的条件で生産できるもの。つまり第一次産業です。
県は、誘致企業の促進予算を大幅に減らし、農林畜産および水産業の将来のための予算を手厚くすべきでしょう。考える農業と関連産業が鹿児島に活力をもたらしてくれると思いますが、いかに。
Commented by イマガワ=ジン at 2009-03-31 23:02 x
鹿児島に限らず、地方の衰退は大問題ですよね。
これも私は「戦後体制」「高度成長期モデル」を見直さなかった結果だと思います。明治政府が上からの近代化を進めるため中央集権・官僚制度を整えた、次に戦時体制のため統制強化、そして戦後復興・高度成長も中央の官主導で上から遂行した。これはこれでベターな策だったのだから構わない。問題は高度成長が一段落したというのに中央主導のシステムを見直さなかったところにある。東京一極集中は政官財の最大の利権と思っています。
Commented by gayacoffee at 2009-04-01 22:54
イマガワ=ジンさん、ありがとうございます。
これまでは中央に頭を下げおこぼれをもらってやってきた地方ですが、もう中央は当てになりませんね。地方は覚悟を決めて、その土地でしかできないことを模索、作り上げるしか生きる道はなさそう。
教育などは、中央の役人の言うことなど聞く必要はないでしょう。
例えば薩摩は薩摩のカリキュラムで進めないと、全国にミニ東京・ミニ東京人が増えるばかり。「戦後教育が日本をだめにした」などという反動思想を超え、さらに江戸時代以前に戻って地方人は自らを見つめ直すときでは? 地方の大学もこうしたカリキュラムが揃うと面白いでしょうけどね。
Commented by イマガワ=ジン at 2009-04-03 01:06 x
ミニ東京人が増える理由は東京から東京視点のニュースを一方通行で流してくるマスメディアの影響が大でしょう。NHKニュースでも局地豪雨で東京圏の鉄道が大混乱とかすぐに全国ニュース。関西のローカルで地元の出版社が子供向け電車本に関西私鉄を載せて評判がよい(大手出版社が東京に集まっているため一般的なそれは首都圏の鉄道になる)と言ってましたが同情しましたね。

現行では教育カリキュラムで地方に自由裁量権を与えるのは難しいですよね。戦後教育は戦前のエリート教育(エリートと一般教育との二本立て)が失敗したとの認識を前提に「平等性」(ただ個性や地域性を認めない悪平等との批判も強い)を最重視してますから。
Commented by gayacoffee at 2009-04-03 12:49
イマガワ=ジンさん、ありがとうございます。
今後も一極集中化は強まるばかりでしょうね。九州新幹線が全面開業すると鹿児島市は“福岡県”となるでしょう。実際道州制うんぬんの論議も盛んです。
中央集権的ないまの教育制度は、明治以降、国家主義の系譜上にありますね。「官」>「民」、「中央」>「地方」。そろそろその呪縛から解き放たれないと日本人は弱体化します。立身出世のためのお勉強と、専門的知識を身につけるための勉強と、己を研鑽するための教養とを分けるべき。最も大切な「教養」が現代では無価値です。ここに明治以降の日本人の問題点があると考えます。
by gayacoffee | 2009-03-31 12:39 | ガヤマスのつぶやき | Comments(4)

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